「日本でビットコインETFが承認されない現状」記事とトランプ発言の波紋

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トランプの発言

 ドナルド・トランプ前大統領は大統領選を前に、暗号資産に前向きな発言を重ねている。具体的には、「私は暗号通貨企業や、新しく急成長している産業に関連するあらゆることにとてもポジティブでオープンだ。アメリカはこの分野のリーダーにならなければならない」「全米5000万の暗号資産ホルダーの自己管理権を支持する」などといったものだ。その少し前には、大統領選のための寄付を暗号資産でも受け付けることも表明した。

「ジョー・バイデン大統領が暗号通貨にネガティブな姿勢を見せてきたことを突いての行動と見られています。バイデン氏自身そこまで明確に判断できていたのかもはや微妙ですが、ここ最近も暗号資産に懐疑的だった証券取引委員会(SEC)のスタンスを変えさせるような動きがありました。そこには政権側の意向が大きく働いていると見られています」(同)

 ある意味で、ビットコインを中心とする暗号資産が政争の具とされている状況のようだ。

さほど気にしていません

 ところで、実際に日本でビットコインに投資している投資家はどう見ているのだろうか。
「古参の方を差し置いて私なんかがお答えするのは気が引けますが(笑)。ビットコインについては以前から注目して少しずつ資金を入れてはきたものの、本格的な投資をする踏ん切りがつかないままズルズルときていました。が、米大手資産運用会社ブラックロックが上場申請を行った2023年半ばからですかね、ある種の確信ができて、加えて半減期もやってくることからそれなりの投資を開始しました」

 最大55%の税率は気にならないのだろうか。

「もちろん“気になる”という声が大きいですよ。が、私は売ったり買ったりはそこまでしないですし、そこまでの高税率に達する人はそう多くないのではないかなと感じています。ただ、株式などと違って損益通算や損失の繰越ができないのは難点で、相続の面など面倒で心配な部分もあります。だから、現物のビットコインの税率がETFと同水準まで下がり、ビットコインETFが承認されれば良いなぁとは思っています、もちろん」(同)

先進国通貨と比べて

 ブロックチェーンを使ったデジタル通貨であるビットコインがもともと標榜していたのは、テクノロジーの進化の助けを得て、国家に代表される中央集権的な存在なしでも個人同士が結ばれることで成立する社会だとされる。先述のトランプ氏の発言にあった、「全米5000万の暗号資産ホルダーの自己管理権」につながる話なのかもしれない。

 トップを決めるにあたって暗号資産がそのカギを握るかもしれない存在になったアメリカと、まだまだそこに至らない日本。その差が埋められる日は来るのだろうか。

「ビットコインは発行枚数が設定されている一方、米ドルにしろ円にしろ主要先進国では貨幣の発行が無尽蔵に続いていて、その価値は金やそれこそビットコインに対してどんどん下落しています。こういった傾向は今後も変わらないだろうという点からも、ビットコインへの投資について何ら心配はしていないですね」(同)

デイリー新潮編集部

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