松井稼頭央監督(48)“解任”のカゲに「株主」と「元主砲」…“クビのすげ替え”で西武・松坂監督誕生に暗雲

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親会社サイドの意向が作用?

 それまでの西武の監督人事は長期的な視点には乏しかった。松井監督は球団が重い腰を上げ、戦略的に誕生させた指揮官だった。しかし、それだけの人材を、なぜこうも簡単に、まだ98試合も残した時点で切り捨てたのか。

 同スタッフによると、親会社サイドの意向が大きく作用したという。

「西武HDは6月21日には株主総会が開催されます。例年、株主からはチームの現状について質問が飛びます。辛辣な意見もあり、球団は想定問答などで備えてきました。堤(義明)オーナー時代に不祥事を起こした親会社がクリーンな企業に生まれ変わろうとする中で、球団はイメージ形成に大きく関わるとあって、総会対策が重視されてきた経緯があります」

 昨年は山川穂高内野手(現ソフトバンク)の知人女性に対する暴行事件を受け、株主から山川の解雇を求める意見が出て、奥村剛球団社長が矢面に立った。

「今年はチームの開幕からの不振が話題になることは間違いありません。ソフトバンクは山川を獲得したことで攻撃力が大幅に上がって首位を独走し、逆に西武は深刻な得点力不足に陥っての最下位です。メンツが丸つぶれの現状に、球団が何も手を打たないわけにはいきません。このまま低迷が続き、交流戦(6月16日閉幕)の後の監督交代では遅きに失した感が出てしまいます。いずれ代えるつもりなら早めにということになったのではないでしょうか」(同スタッフ)

渡辺GM以外に選択肢はなかった

 火中の栗を拾うことになる後任の人選については、渡辺GM以外に選択肢がなかったのが実情だ。

「今の西武の戦力では誰が指揮を執っても苦戦するでしょう。渡辺GMは08年、監督就任1年目に日本一になった実績と、今季はフロントとして松井監督を補強面でバックアップし切れなかった責任の両面があります。自ら呼び戻し、指導者に育て上げた松井監督の尻ぬぐいという意味でも適任です」(元NPB球団監督)

 渡辺GMは監督代行の就任記者会見での「私自身が楽天から引っ張ってきた。松井監督だけの責任ではないし、私もチームを全体的にみる立場として非常に申し訳ない。そして責任を感じている。11年前にやめたとき、もう現場には戻らないつもりでいたが、こういう状況になって自分がやるしかないかなと思っている」との言葉が、そこに至るまでの経緯の大部分を言い表していた。

 渡辺監督代行は会見で「プロ野球人生を懸けて挑んでいきたい」と不退転の決意も語った。松井前監督は選手の自主性を尊重した半面、厳しさに欠けるとの指摘が出ていた。身だしなみの乱れに眉をひそめる者は、昨年の株主総会で高橋光成、今井達也両投手を念頭に長髪を批判した株主だけではなく、球団内にもいた。

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