能登のシンボル「輪島朝市」で「義援金分裂」「訴訟合戦」の泥沼内紛が 一体何が起きているのか

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商標を取り合う争い

 そこから先は両者の間で訴訟に次ぐ訴訟。

 一方が一方を中傷したという名誉毀損裁判から、組合が追い出した側に道路専有許可を出さなかったことを巡る訴訟、はたまた乱発する裁判の費用支払いを巡る訴訟――その数は10件を優に超えるといい、一部はいまだに係属中だ。こうなれば関係修復は不可能だが、さらに、である。

 21年、前組合長とこの幹部はNPO法人「輪島朝市」を設立し、そこには15名ほどの組合員も参加した。すると、

「今度は組合側が“先に商標登録をされたらまずい”と、市の商工会議所に委託し、『輪島朝市』の商標登録を申請したんです。そこで私たちのNPOも、商標登録を申請しました」

 今度は商標を取り合う争いが始まったというわけだ。この件は現在、特許庁が審査中である。そして23年、NPO法人を設立した前組合長と幹部は組合を除名されている。

「弁護士費用で200万ほど使った」

 では、今度は「逆側」の言い分はいかがか。

「NPOの言っていることは事実に反します」

 と反論するのは、告発された側のトップ、「輪島朝市組合」の冨水長毅(とみずながたけ)組合長である。

「そもそもトラブルの発端となった法人化の件も、商標登録自体は多くの組合員が賛成でした。ただ、申請は商工会議所を通してでもできるし、NPOを作ると朝市に関わる団体が二つになってしまう。何よりそうしたことを議論しなくてはいけないのに、前の組合長と理事(※NPO幹部のこと)がどんどん進め、先に新聞記事まで出てしまっていた。そうした運営手法に待ったがかかり、その後の結果になったというわけなのです」

 訴訟合戦に関しては、

「こちらは正当な手続きを取っているのに彼らはどんどん訴えてくる。裁判でわれわれを疲弊させるのが狙いなのでしょう。私個人も弁護士費用などでもう200万円ほどは使っています。ひどいなと思ったのはSNS。もともと組合のSNSはNPO側のメンバーが作ったものでした。だから除名されて以後、向こうはパスワードを変え、僕らが自由に更新できないようにしてしまった。で、今はそれをNPOのSNSに変えてしまったんです」

 とため息をつく。震災後、組合は「輪島朝市を応援する会」を立ち上げ、そこで義援金を募ることにしたが、ここでもひと悶着が。

 義援金の窓口が組合とNPOに分裂していること、さらにその配分や使途を巡り双方が非難の応酬をする事態に発展しているのである。

 5月30日発売の「週刊新潮」では、両者の言い分を紹介しながら、石川県随一の観光地で起きている泥沼の争いについて詳しく報じる。

週刊新潮 2024年6月6日号掲載

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