紅麹問題でルール厳格化も…日本の機能性表示食品制度は世界一ユルい 「そもそもサプリを食品ということに無理が」

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日本の制度はアメリカよりも劣る

「日本の機能性表示食品の制度は現状、間違いなく“世界一緩い制度”と言えます」

 と語るのは、立憲民主党の井坂信彦衆院議員。井坂氏は立憲の「機能性表示食品の見直しに関するプロジェクトチーム」の事務局長を務め、5月14日に衆議院に提出された「機能性表示食品被害防止法案」の制度設計を担った。

「食品に機能性を表示できる制度は日本だけでなく世界各国にあります。しかし、国が機能性の安全面に関与せずに届け出るという制度は日本とアメリカにしかありません。こうした届け出制を取っている日本とアメリカはそれだけで緩い制度と言えるのですが、アメリカに関しては安全面のルールが厳格化されています。例えば、健康被害があった場合は速やかにFDA (アメリカ食品医薬品局)に届け出なければなりません。ですから、日本の制度はアメリカよりも劣るといってよいのです」(井坂氏、以下同)

 日本の機能性表示食品の場合は現状、「健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合は、消費者庁へ速やかに報告する」とし、義務化はされていないのが現状だ。そのため、紅麹サプリでは小林製薬から国への報告が遅れたことが指摘されている。これを含む問題点を改善しようというのが、今回の制度見直しだ。しかし、それでも不十分だという。

 立憲民主党が提出した「機能性表示食品被害防止法案」は食品衛生法の改正が主旨となっており、これが今回の肝なのだと井坂氏は言うのである。

サプリに特化した法律を

「政府が検討している見直し案との大きな違いです。食品衛生法を改正するということはつまり、機能性表示食品を“安全の問題”として捉えてルールを作るべきだ、ということです。食品表示法は、食品の宣伝文句を定める法律で、その宣伝文句が消費者をだますことがないか、という文言をチェックしているに過ぎません。つまり、安全性をどうするかという視点でルールが作られていないのです。そこで、安全面を考え、きちんと規制していくために、厚労省が管轄となる食品衛生法で機能性表示食品を定めていくべきなのです」

 さらに食品の安全性については、

「いまの制度では安全性や有効性について明確な基準がありません。それこそ、でっちあげのような論文もありますし、いい加減な根拠の食品が野放しとなっています。そこで科学的根拠となる基準をOECDが定める世界的ガイドラインを導入して信頼性の高い安全性試験を担保していかなくてはなりません」

 その上で井坂氏は長期的な検討課題として、「サプリ法」のようなサプリに特化した法律を作る必要性を説く。

売り手目線ではなく消費者目線で

「いまの日本には薬と食品というカテゴリーしかありません。機能性表示食品は食品のカテゴリーですが、錠剤のような機能性表示食品を“食品”だと思って口に入れている消費者がいるでしょうか。そもそもサプリを食品と言うことに無理があります。ですから、医薬品に準じたものとしての“サプリ”という第三カテゴリーをきちんと作って、厳しい安全ルールを作っていかなくてはなりません」

 として、現在の見直しについてこう語る。

「政府による制度見直しが現在の枠組みの中での見直しであれば、根本的な解決にはなりません。売り手目線で議論するのではなく、消費者目線で議論すべき。それには一にも二にも安全性という視点が重要ではないでしょうか」

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