紅麹問題でルール厳格化も…日本の機能性表示食品制度は世界一ユルい 「そもそもサプリを食品ということに無理が」
小林製薬が機能性表示食品として販売していた「紅麹サプリ」による健康被害が露見し、「紅麹コレステヘルプ」などの同社製品が回収され始めて 3か月が経過した。しかし、5人の死者が発覚したこの騒動は未だ収まらず、サプリの摂取をやめても腎機能が回復しない患者がいると報じられている。消費者庁では機能性表示食品の制度見直しが進められ、5月23日、有識者検討会が報告書案をまとめた。しかし、この制度そのものに欠陥があるとの声が上がっているのだ。
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これでは抜本的な解決にはならない
まずは機能性表示食品の制度について説明しておこう。
2015年にスタートした同制度は企業が科学的根拠を示した上で、消費者庁に届け出れば、その製品について「国の審査」なしで機能性を表示できるというものだ。
国の審査が必要になるトクホ(特定保健用食品)とは大きく異なり、機能性表示食品はその根拠となる論文の研究が適切なのかを判断する基準がない。そのため、根拠薄弱な研究に基づいた食品が出回っているのではないか、とされてきた。そうした懸念が現実のものとなったのが、今回の「紅麹サプリ」問題だったわけだ。
週刊新潮では「小林製薬『紅麹』だけではなかった! 消費者庁調査で判明した147件の健康被害 6795製品のうち『摂取に注意』はどれか『機能性表示食品』を実名で検証する」で、紅麹サプリ以外でも根拠に疑義が呈されている機能性表示食品を報じてきた。
機能性表示食品は食品表示法に基づいている。そのルールの詳細は消費者庁のガイドラインに定められ、そのガイドラインに従って、企業が届け出るという仕組みだ。騒動後、消費者庁の有識者による検討会が制度見直しを議論し、この度、報告書案がまとめられた。それによれば、医師による診断で健康被害が疑われる場合は事業者が行政に報告することを義務化、などが提案されている。
しかし、これでは抜本的な解決にはならないのではないか――。制度そのものの大きな欠陥を指摘する声が上がっている。
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