森ビル14年目に突入する辻慎吾社長のワンマン体制 関係者は「社内は自由にモノが言える雰囲気ではない」

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森ビルの将来

 麻布台ヒルズではレジデンスBの完成が遅れたり、ヒルズ内の一部店舗のオープンが間に合わなかったりするなど、森ビルらしからぬミスが目立った。

「辻体制のほころびが影響を与えている可能性があるわけです。難しい再開発プロジェクトを完遂するという点だけに限ると、辻さんの能力は傑出しているかもしれません。ただし、社長の仕事はそれだけではありません。そもそも森ビルは、地権者や建設を請け負うゼネコンなど、いわゆるステークスホルダーの皆さんと協調していくことで力を発揮してきました。森ビルにとって辻体制が続くことは企業の存続という観点からすると、将来の危うさを増長することになるのではないでしょうか」(同・関係者)

 デイリー新潮は森ビルに質問状を送付した。まずは麻布台ヒルズを訪れた人々から不満の声が出ていることを指摘し、受け止めと改善の予定を聞いた。

 次にレジデンスBの完成が遅れている問題で、森ビルには少なくとも道義的な責任があり、「辻社長の謝罪は紙1枚で、誠意を感じさせる対応をしてほしかった」という批判についてどう考えるか聞いた。

“辻ビル”に対する説明

 これまで森ビルは超大型の再開発計画を寸分の狂いもなく完成させてきた歴史を持つ。ところが麻布台ヒルズでは「森ビルらしからぬミス」が連発されていると驚きの声が出ている。その原因をどう分析しているか聞いた。

 この3点の質問に対し、森ビルは以下のように回答した。

《麻布台ヒルズを始め、当社が手掛けているのは、多様な都市機能を高度に複合させた「街」づくりです。何度お越しいただいても新たな発見があるように意図する部分もございますが、お客様の声を真摯に受け止めながら、より良い街になるよう改善を続けてまいります》

《レジデンスBについては、工事が大幅に遅延しており、多くの権利者の皆様をお待たせしてしまっていることについては、再開発事業をリードする立場として大変心苦しく思っております。当社としましては、レ ジデンスBを含む麻布台ヒルズ全体の完成まで、責任をもってしっかりと取り組んでまいります》

 次は辻社長の“長期ワンマン体制”について質問した。異例の長期政権が続き、役員人事も固定化していることについて森ビルの見解を尋ねると、以下のような回答があった。

《経営体制については、当社として決定したものです。当社が手掛ける大規模再開発事業は、20年、30年という極めて長い時間を要する事業であり、地元の皆様を始め、非常に多くの関係者の皆様と共に進める共同事業でもあります。長期にわたる一貫したリーダーシップの発揮と、長年にわたって培われた関係者の皆様との信頼関係は、当社が進める都市づくり事業においては不可欠であると考えています》

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