麻布台ヒルズ タワマン「レジデンスB」の完成が遅れている…森ビル社長の謝罪は紙1枚に疑問の声

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当事者意識の欠如

「そもそも麻布台ヒルズとなった土地は権利関係が複雑で、再開発には長い時間がかかりました。地権者を中心に『街づくり協議会』が作られたのは1989年に遡ります。森ビルが時間をかけて合意形成を図ったことは評価できても、地権者の多くは高齢になりました。『生きている間に早く入居したい』という声は増す一方です。森ビルは三井住友建設にレジデンスBの建設を委託した責任をどう考えているのかとは思いますね」(組合の関係者)

 辻社長の謝罪文書は、そもそも昨年の工事遅延を重大に受け止めたとしている。そのため組合の承認を得た上で「特定建築者」になったことを強調し、以下のように説明した。

《特定建築者は組合に代わり施工者に工事を行わせ、完成のうえ組合に建物を引き渡す責務があります》

 だが、《責務がある》と強い決意を示しておきながら、工事遅延に関しては《大変申し訳なく、心よりお詫びします》と一行の謝罪が書かれているだけだ。

「実際に再開発の主導権を握ったのは森ビルであることは事実です。とはいえ、組合が再開発を行い、それを森ビルがサポートするというのが法制上の規定です。少なくとも地権者の協力がなければ、麻布台ヒルズは開業できなかった。多大な恩義のある地権者が住む場所が提供できていないにもかかわらず、それに対する謝罪が紙1枚というのは、森ビルは当事者意識が乏しいと批判されても仕方ないのでないでしょうか。文面も自分たちに責任があると明記しておきながら、どこか他人事の印象を受けます。そもそも特定建築者にならずとも森ビルには『完成のうえ組合に建物を引き渡す責務』があるのですから」(同・関係者)

 デイリー新潮は森ビルに取材を申請し、レジデンスBの完成が遅れている問題について回答を求めた。その結果と、森ビルの辻社長が社員に対する言動が問題視されているという問題を後編で取り上げたい。

デイリー新潮編集部

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