年商4000万円のキクラゲ農家になった元ソフトバンク・中原大樹さんが語る、同年入団の柳田悠岐への感謝

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売り上げは4000万円に

 加工品の開発にも熱心だ。

 岳父はひらめきの人のようで、次々とアイデアを思いつく。評判がいいのは、明太子にキクラゲを合わせた「めんたいきくらげ」。他にも、ソフトバンクの先輩で養豚業を営む江川智晃(37)さんの肉とキクラゲのコラボ商品「鷹〇(たかまる)ソーセージ」が人気だ。さらに、同じく元同僚の釜元豪(30)さんが作った玉ねぎとのコラボ商品「タカマル麹ドレッシング」もある。釜元さんはソフトバンクで4軍コーチを務めながら、農業を営んでいる。

 ただし加工品の“打率”、つまり成功率は2割とか。

「サプリを作ろうとキクラゲを砕いたものをカプセルに入れて、来る日も来る日も飲んだり、パテを何度も味見したり。どれもボツ企画なんですけど、やっている時は修行です」

 キクラゲビジネスは順調で、初年度1000万円だった売り上げもいまや4倍に。

「ギータさんや千賀、拓也、マッキー……。彼らが頑張ってるから、自分も頑張れるんですよね。野球をやっていてよかったです」

 2年前、子どもたちに野球を本格的に教え始めた。今年からは、三菱自動車ディーラーが運営する社会人野球チーム「KMGホールディングス硬式野球部」のコーチも務める。忙しくも充実した毎日を送っているという。

 前編では、妻を失くしたことをきっかけに、玉ねぎ農家に転身した元巨人投手・河野博文さんにインタビューを行っている。

 さらに中編では、元野球選手と知られた途端に借地料を相場の20倍に上げられてしまうなど、険しい道のりを経てイチゴ農家として成功した元中日投手・三ツ間卓也さんへのインタビューを行っている。

西所正道(にしどころまさみち)
ノンフィクション・ライター。1961年奈良県生まれ。京都外国語大学卒業。著書に『東京五輪の残像』『「上海東亜同文書院」風雲録』『絵描き 中島潔 地獄絵1000日』など。

週刊新潮 2024年5月23日号掲載

特別読物「続 農業を始めた元プロ野球選手たち 日照りと戦う“七転び八起き”物語」より

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