マキノンをなぜ放出した? 優し過ぎる指導…西武・松井監督が休養に追い込まれた根本的原因は何処に

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マキノンと契約しなかった理由

「韓国プロ野球界には、1年目の外国人選手に払える年俸は、契約金込みで上限90万ドル(約1億4000万円)まで、というルールがあります」 (特派記者)

 23年のマキノンの推定年俸は9000万円。チーム貢献度の高さからも、「残留なら大幅昇給は必至」と見られていた。そのため当時、サムスン入りしたことについて「西武は5000万円増を渋り、マネー戦争で負けた」との見方をされていたが、事実はそうではなかった。

 マキノンとの残留交渉と平行して、球団はスペイン語の通訳を探し、その直後にドミニカ共和国出身の投手のアブレイユ(28)と、同外野手のコルデロ(29)と契約。さらに、ベネズエラ出身の内野手、アギラー(33)を獲得している。

 前出の関係者によれば、西武フロントは打線強化のため、外国人野手は中南米出身のパワー系に切り替えた。そのため、コンパクトスイングで、昨年15本しかホームランを打てなかったマキノンは24年のチーム構想から外れ、球団フロントのほうから慰留交渉を打ち切った、というのが真相だ。

「アギラーの推定年俸が2億1000万円、アブレイユが1億5000万円、コルデロが1億円。さらに、ドミニカ共和国出身投手のヤン(27)は7500万円。アギラーに2億円以上払えたので、マキノンにも5000万円増の1億4000万円を払おうと思えば払えたんです。パワー系外国人に切り替えるという補強方針が間違いだったということです」(前出・関係者)

 アギラーは右足のケガで登録を抹消され、コルデロは打撃不振で4月15日にファーム落ち。純国産打線での戦いを余儀なくされてしまった。

 また、フロントが2つ目の補強ポイントとしていたのが、ブルペン陣の強化である。昨季は田村伊知郎(29)、豆田泰志(21)の奮闘もあったが、「人員不足」の感は否めなかった。それをアブレイユ、ヤン、さらに、山川のFA移籍に伴う人的補償で甲斐野央(27)の獲得で補ったつもりでいたが、甲斐野は肘の不調でファームへ。松井監督は先発要員だった松本航(27)をセットアッパーに配置転換している。

「救援陣だけの防御率は4.86。これも12球団ワーストです。4月7日から始まった7連敗では、先発投手のQS(先発投手が6回以上を投げ、自責点3以下に抑えた試合)は5回、5月14日から続いている7連敗でも4回が記録されています。つまり、先発投手は試合を作るのに、打線の援護はなく、救援陣が要所で打たれているということです」(前出・スポーツ紙記者)

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