マキノンをなぜ放出した? 優し過ぎる指導…西武・松井監督が休養に追い込まれた根本的原因は何処に

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松井監督が休養

 埼玉西武ライオンズが、セパ交流戦前のオリックス3連戦で8連敗を止め、5月26日の第3戦に連勝して4カードぶりの勝ち越しを決めた。しかし同日、松井稼頭央監督(48)が休養を発表。渡辺久信GM(58)が監督代行になり、28日のセパ交流戦から指揮を執る。

 渡辺GMは11年ぶりの現場復帰となる。球団にとってシーズン途中での監督交代は3度目だが、5月末での交代は、最速である。

「5月上旬、ネット上に“松井監督休養、渡辺GMが監督代行に”という、真偽不明の情報が書き込まれたことがありました。渡辺GMが現場に戻ることはないのではと思っていたのですが、仮に松井監督が休養するとしても、後任は思い当たりませんでした。交流戦前とはいえ、とにかく急な展開でしたね」(スポーツ紙記者)

 今季はここまで15勝30敗、勝率.333の最下位。敗因は「打てない」のひと言に尽きるが、前身の西鉄時代も含め、球団史上最速の39試合目で自力優勝の可能性も消滅した。100試合も残っているペナントレースが“消化試合”になりかねず、松井の采配能力を疑う声が日増しに高まっていたことは事実だった。

「(ロッテ先発が好投手の)種市君ということで、そう多くのチャンスがない中、ワンチャンスでというところだった。でも、僅差の試合が非常に多い。終盤のところで1点を勝ち越せていないので、そういうところになってくるのかなと思います」

 5月22日の千葉ロッテ戦を落とした後、松井監督はこうコメントした。球団フロントとファンが抱く“理想の監督像との 違い”がこのコメントに凝縮されている。

「松井監督は、相手チームの選手も呼び捨てにしません。縦社会の球界において、他球団の選手にも配慮するのは立派です。ファームを指揮していた3年間(19~21年)も失敗やミスをした選手に対し、決して大きな声は出さず、平等にチャンスを与えてきました。コンプライアンス上は非常によいことですが、ファンは『やっぱり厳しい一面も必要』と思っています」(チーム関係者)

 もちろん、球団も勝利を望んでいる。しかし、チーム打率2割1分3厘、総安打数307、得点113、長打率3割4分、出塁率2割7分1厘、打点108は、全て12球団ワーストだ(26日現在)。この「打てない」原因を探ってみると、松井監督や担当コーチたちの責任とは言えない側面も浮かび上がってくる。

「昨年オフ、主砲の山川がソフトバンクへ移籍しましたが、その前にマキノン(29=現・韓国サムスン)を引き止めなかったのは驚きでした」(スポーツ紙記者)

 昨季の打線を牽引したのは外崎修汰(31)とマキノンだった。打率は2割5分9厘だったものの、本塁打15、打点50。不祥事で試合出場できなかった山川穂高(32=現ソフトバンク)に代わり、一塁の守備でも貢献した。

「西武に限らず、ここ数年の傾向として、外国人スラッガーが思うような数字を残していません。その中でマキノンは合格点でしょう」(前出・同)

 マキノンは23年12月1日開示の保留者名簿から外れ、いったんフリーになった。球団との残留交渉は続いていたが、結局、韓国プロ野球・サムスンと契約した。

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