なぜ「超人気アニメ」のグッズは1年後に「投げ売り状態」になるのか? “大人向け作品”の量産が招くアニメ業界の危機

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アニメの製作本数を絞り、ファンを育てよ

 気がかりなのが、現在放送中のアニメを見ると、異世界転生系などの大人向けのアニメばかりで、純粋な子ども向けの新規のアニメが少ないことだ。Eテレで放送されているアニメのほとんどが息の長い作品ばかりだし、『ちゃお』や『なかよし』、『りぼん』などの少女漫画雑誌原作のアニメは壊滅状態にある。そもそも、ゴールデンタイムからアニメが消滅して久しい。

 昨今盛んに叫ばれているのが、アニメや漫画を使ったコンテンツビジネスだが、ターゲットになるのは、とにかくグッズを買ってくれて、声優のコンサートに行ってくれて、音楽をダウンロードしてくれる大人ばかりである。コンテンツビジネスでは、すぐに成果に繋がりにくい子どもはないがしろにされがちだ。

 しかし、現在アニメファンになっている大人は、子どもの頃にゴールデンタイムでアニメを見ていた経験がある世代である。子どもたちがアニメを見る習慣をつけておかなければ、将来のアニメファンが育たないのではないだろうか。将来への投資として、子ども向けのアニメを積極的に製作する時期に差し掛かっているのではないか。

 そして、せっかく製作したアニメやキャラクターを、大切にしてほしい。そのために提言したいのは、とにかくアニメの製作本数を絞ることである。できれば現在の半分でも十分だ。そして、子ども向けの作品を一定数、製作することである。放送が終わったらそれで終わるのではなく、じっくりとファンを育てるための戦略を練ってほしいと願う。

ライター・宮原多可志

デイリー新潮編集部

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