「空き家率」世界一の日本はヤバい…新築住宅優遇策のツケ、政府は中古住宅に目を向けさせる政策を

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日本の空き家率が世界一の理由

 空き家が放置されることのデメリットは大きく、また、多岐にわたる。住宅は経年劣化するものだが、一般に空き家になるとそのスピードが速くなる。換気や採光がされない状態が長く続くと、湿気がたまるなどして老朽化が進む。そこに樹枝や雑草が繁茂して、犯罪の根城にされることもあるし、放火の対象にもなりやすい。つまり、治安の悪化に直結する。ゴミが不法投棄されるなど、衛生面の問題が発生することも多く、景観も著しく損ねて、周囲の住環境を劣化させる。

 このままでは、今後、空き家がさらに増え、その増加率も高まっていくことはまちがいない。各地で地域コミュニティが崩壊し、ゴーストタウンのような集落が増えることも避けられないだろう。しかし、その際に私たちは、空き家がここまで増えているのは、日本に特殊な現象だということを認識しておく必要がある。

 国別統計専門サイト「グローバルノート」による2020年のランキングによれば、その時点で13.55%だった日本の空き家率は、世界1位である。日本と同様に高齢化や人口減少が進んでいる国は少なくないのに、日本にばかり空き家が多く、それが増加しているのはなぜか。その最大の理由は、中古住宅の流通戸数が極端に少ないことにある。国土交通省の調査(2019年現在)によれば、日本における中古住宅の流通シェアは、住宅全体の14.7%にすぎず、この数字は欧米諸国の6分の1程度にすぎない。

 現在、冷暖房エネルギーを減らすために、住宅そのものを省エネ住宅にすることが推奨されている。それがSDGsにつながるかのように喧伝されているが、省エネ住宅をどんどん新築することが、本当に省エネやSDGsといえるのだろうか。その結果、空き家は増えているのである。すでに存在する家をできるかぎり活用してこそ、省エネやSDGsに直結するのではないだろうか。

 日本は欧米諸国等とくらべると、異常なまでに新築志向である。そのことは、先の大戦で日本の諸都市が焼け野原になったことや、地震大国であることも起因していると考えられるが、加えて、政策によって生み出された志向であることが無視できない。

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