「寺山修司に殴り込み」「グラスを自分の額に砕けるまで押し付け…」 唐十郎さんの武闘派伝説を看板俳優が明かす
寺山修司ともバトル
劇団「天井棧敷」を率い、同じくアングラ演劇の旗手と呼ばれた寺山修司ともバトルがあった。
「僕らが渋谷で芝居をやることになったんです。渋谷といえば、警察署の並びに『天井棧敷』の事務所がある、寺山さんのシマ。で、僕らはあいさつの花を送りました」
その返礼で寺山が送ってきたのは葬式用の黒い花輪。
「これには伏線があった。寺山さんがその前に芝居を打った時に唐さんが花を送ったんですが、それは商店街のパチンコ屋からかっさらって届けたものだった」
寺山としてはそのお返しで、ユーモアのつもりだった。
「でも当時は血気盛んだったから“行こうか”という話になった。で、唐さん、僕、四谷シモンなどで天井棧敷に行ってね」
寺山の母の喫茶店に突撃…窓を粉々に
20人ほどが殴り合いとなり、勢い余ったシモンは1階の喫茶店のガラス張りのウインドウに置物を投げ、粉々にしてしまったという。
「大騒ぎになり、並びが警察署だから捕まって一晩泊まりましたよ。こっちは7人、向こうは寺山さん含め2人くらいかな。でも翌朝、唐さんと寺山さんは留置場で“よぉ”なんてあいさつしている。茶番ですよ。唐さんにとっては芝居の一部なんです。これで終わりと思ったら、誤算は後日、寺山さんのお母さんから弁償代を請求されたこと。店のオーナーだったみたいですね」
映画監督・大島渚にアピールしたいと彼行きつけのバーに押しかけ、たくわん石でボトルを破壊したことも。それでも後に大島の映画に出演することになるから不思議である。
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