視聴率上昇「アンチヒーロー」 底知れぬ腹黒さも“いい人”説まで浮上…伊達原に隠されていた“3つの色”

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ミスリードの可能性

 もちろん異論もあろう。明墨以下、同僚弁護士の赤峰(北村匠海)、同・紫ノ宮、パラリーガルの白木(大島優子)、同・青山(林泰文)、殺人事件で無罪となった緋山(岩田剛典)、そして緑川検事。明墨に深く関わる重要人物には苗字の中に色を表す漢字が含まれているが、伊達原にはこれがない。

「ところがそうでもないのです。仙台藩初代藩主の伊達政宗にゆかりのある『伊達の三色(みついろ)』という言葉があります。緋羅紗(ひらしゃ)の赤、伊達の勝色(だてのかちいろ)の青、仙台孟宗竹(せんだいもうそうだけ)の緑という3色セットのご当地インクも発売されました。仙台を本拠地とするプロ野球・楽天イーグルスのユニフォームにも伊達の勝色が『ヴィクトリーネイビー』として採用されています。この色の意味は調和、協力、勇気、栄光、深い知恵です」(前出の放送ライター)

“伊達原”には3つの色が隠されていたというわけか。色を表す漢字を持つ登場人物はいずれも“アンチヒーロー”として今後の活躍が強く予想される。検察官の緑川も裁判テクニックを駆使して自身の野望を果たそうとする悪玉というよりは今後、正義を追求する立場を明らかにしていきそうだ。

 伊達原は第3話で緑川に「人殺しを無罪にするなんて絶対にあっちゃいけないよね」と念を押し、第5話冒頭では料亭に明墨を呼び出し、金銭で証拠を捏造した姫野検事の名を挙げて「きみのおかげで組織の膿(うみ)を排除できた」と感謝を伝えている。野村の嫌味たっぷりの顔芸もあって伊達原=悪人という印象が強いが、制作サイドによる意図的なミスリードの可能性がある。色にまつわる謎が解けたことで伊達原が物語の核心人物、つまりアンチヒーローである可能性がますます高まった。

「伊達原の台詞は明墨への脅しのように聞こえて、実は本音なのかもしれません。演出の宮崎陽平氏は、伊達原がポテトフライを食べていたシーンについて『彼が料亭好きの高級志向の人ではなく、バナナやファストフードを食べるくらい俗っぽさもある人という面がちょっとでも出れば』と明かしています。この投稿は“伊達原=いい人”説の証拠ともいえますね。12年前に起きた糸井一家殺人事件の陣頭指揮をとったのは伊達原ですが、緒方直人演じる志水裕策死刑囚の冤罪事件の解決を裏で考えているのかもしれません」(同)

 今話には同じく日曜劇場「VIVANT」で別班のメンバーを演じた珠城りょうや、バルカ共和国外務大臣のワニズを演じた河内大和が、「週刊大洋」副編集長役で登場するなど濃い面々がドラマを盛り上げた。視聴率も前回より上向き、TBSを喜ばせている。ラストで明墨は、ターゲットは瀬古だと断言。善良そうな裁判官のドス暗い闇が今後、次々と暴かれていく。これに伊達原はどう絡むのか。明墨、瀬古、伊達原の“三つ巴”の闘いが大きな見どころとなりそうだ。

デイリー新潮編集部

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