肩こり、花粉症が改善! 知られざる「鼻うがい」の効果とは…「喉うがいよりも効果的」
水に塩を加えるだけで自作も可能
さらに、免疫システムはアレルギーの発症にも大きく関わっているため、慢性上咽頭炎によってアレルギーのスイッチも入りやすくなってしまいます。従って、上咽頭の炎症を改善することによって花粉症やぜんそく、アトピーといったアレルギー症状にも治療効果が見られることがあります。
〈鼻うがいが「花粉症」などの“鼻の奥のムズムズ”だけでなく、体の広範なトラブルに効果を発揮するのには、理由があったのだ。しかもその花粉症ですら、「鼻の奥に付着した花粉を洗い流す」といった物理的な洗浄効果にとどまらず、アレルギーのスイッチを切って根治させる可能性があるというから驚いてしまう。
そんな驚愕(きょうがく)の効果を有する「鼻うがい」だが、方法はいたって簡単。さらに、すでに慢性上咽頭炎を起こしている人には画期的な治療法もあるという。〉
鼻うがいは、市販の鼻うがいキットから選んで使用するのが手軽でいいでしょう。ただし、使用する洗浄液や粉末を使い切るたびに購入していると高くついてしまいますから、洗浄液を自作するのも一つの手。鼻うがいに使用する洗浄液は0.9%濃度の生理食塩水で、煮沸した水1リットルに9グラムの食塩を加えるだけです。誰でも簡単に作れますから、お勧めです。
鼻うがい用のボトルに洗浄液を入れたら、できるだけ前かがみになって片方の鼻孔から生理食塩水を入れ、もう片方の鼻孔から出します。これを左右2回ずつ繰り返します。生理食塩水を鼻に流し込むときに「エー」と声を出しながら行うとスムーズに鼻うがいができるでしょう。片方の鼻孔から入れた生理食塩水を反対側の鼻孔ではなく、口から出しても構いません。
喉うがいには大した効果はない?
普段、喉うがいをしている人は多いと思いますが、喉うがいで洗い流せるのは、中咽頭についたゴミだけです。埃や病原菌が付着しやすいのは中咽頭より上にある上咽頭ですから、風邪の予防にも喉うがいより鼻うがいの方が効果的です。
京都大学保健管理センターで所長を務められていた川村孝教授の研究では、「水での喉うがいは風邪の発症を4割程度減少させたが、ヨード液のうがいでは風邪の発症は低下しなかった」と報告しています。この研究はヨード液による喉うがいより水うがいの方が効果が高いという結論でしたが、別の見方をすれば喉うがいそのものに大した効果がないという解釈もできます。
また、花粉症や風邪の予防にマスクを着ける方も多いと思いますが、これも私はお勧めしません。上咽頭は天然の空気清浄機だと言いましたが、マスクは口呼吸を助長し、ウイルスや細菌、埃を含んだ外の空気が上咽頭を通過せずに体の中に入ってきてしまいます。そうなることを防ぐため、マスクを着けるよりは「汚れた空気を吸ったら鼻うがい」を習慣にした方がいいでしょう。
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