「明日から君の机はないからな」 “使い走り”にされた挙げ句クビになった横尾忠則のサラリーマン時代
高校を卒業して初めて就職したときの話でもしましょうか。僕は東京の美術大学を受験するつもりで、東京に帰ってしまっていた高校の美術の先生のアパートに居候しながら受験を控えていたところ、受験の前日に突然、先生から、明日の受験を中止して郷里に帰りなさい、と言われた話は前にも書きましたね。
そして郷里に帰った日の翌日の話です。郷里の西脇から40キロほど離れた加古川の印刷所の社長から、僕の描いた「織物祭」のポスターがコンクールで一等になったという新聞記事を見て、ぜひわが社のデザイナーとして採用したいという速達が来て、僕のサラリーマン生活が始まりました。...