大宮駅「みどりの窓口」は平日昼間から「40人待ち」…JR東日本が“削減をいったん凍結”ではなく、窓口を“復活”させるべき理由

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切符を買うためなら窓口のある駅まで無料で移動できる

 ところで、JR東日本側も積極的にPRしていないので、知らない人も多いと思うが、みどりの窓口がない駅から「切符を買う目的」で鉄道を利用する場合、みどりの窓口がある駅までの往復運賃は払い戻してもらえるのだ。正確には、切符を購入した際に片道を窓口で払い戻してもらい、帰りの乗車票をもらう仕組みである。

 駅の券売機の横に、往復運賃を払い戻す旨が書かれたポスターが貼られているのだが、気づいている人はどれだけいるだろうか。何も知らない人は、クソ真面目に往復の乗車券を払って切符を買いに行っているかもしれない。利用者に不便を強いているのだから当然の対応だが、もっと大々的に告知すべきであろう。

 このシステムを利用し、5月21日(火)、筆者の最寄り駅のひとつである南越谷駅から大宮駅まで切符を買いに行ってみた。南越谷駅はみどりの窓口が消滅し、その代替としてオペレーターと会話しながら切符を購入できる「話せる指定席券売機」がある。しかし、平日でも行列ができているし、そもそもこの券売機で買えない切符も多い。

 みどりの窓口がある近場の駅は武蔵浦和駅だが、窓口のカウンターが1ヶ所しかないため慢性的に混雑しているし、その近くの浦和駅も同様に列ができやすい。南越谷駅の駅員に話を聞くと、大宮駅もしくは赤羽駅までなら、みどりの窓口の利用のために鉄道を利用してもいいという。埼玉県のターミナルの大宮駅なら、窓口にカウンターが複数あるだろうし、少しは早いだろう……と思ったが、考えが甘かった。

大宮駅のみどりの窓口で順番待ち

 南越谷駅で大宮駅までの切符を買い、電車に揺られて片道25分(途中、南浦和駅で乗り換えが生じる)。大宮駅の改札で「窓口を利用しに来ました」と告げると、切符は回収されず、そのまま通される。みどりの窓口に着くと、行列が見当たらず、カウンターも4ヶ所が稼働している。これならすぐ買えそうだ……と思ったら、何やら椅子に座って待っている人がいた。

 なんと、2月1日より大宮駅のみどりの窓口は、番号札をとって順番を待つシステムに変更されていたのである。筆者が番号札を取ろうとする前は、なんと“40人待ち”であった。唖然とした。繰り返すようだが、取材日は5月21日の平日、窓口に着いたのは昼過ぎの13時20分頃である。そんな時間でこの待ち人数なのだ。土曜、日曜、祝日はいったいどんなことになっているのだろう。

 調べてみると、大宮駅の近くの駅からはことごとくみどりの窓口がなくなっている。特に、通勤・通学の利用者が多く、埼玉を代表する観光地である川越駅からも窓口をなくしたのは、やりすぎではないだろうか。素人の考えでも、川越駅は絶対に窓口が必要である。こういった駅からも窓口をなくしてしまったことが、大宮駅に利用者が集中する理由であろう。

 みどりの窓口には椅子が並び、高齢者からサラリーマンまで、利用者がスマホをいじりながら順番を待っている。一方、隣接する指定席券売機は利用者がほとんどおらず、ガラガラだ。指定席券売機は鉄道を普段から利用しない人にとっては、操作がわかりにくい。そのため、特に機械に不慣れな高齢者は、窓口に並んでしまうのである。

 近年、JR東日本は鉄道会社というより、テナント業者のようになっている。大宮駅では、みどりの窓口の横に「Eki Tabi MARKET(えきたびマーケット)」という地方の商品を売るブースが設けられていた。しかし、取材日にあまり客はいなかった。ご当地商品を売る場よりも、利用者が求めているのは切符を売る場の拡充ではないだろうか。

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