国が初の実態調査に乗り出した「身寄りなき遺体」急増問題 名古屋市で「遺体が3年以上放置」されたミステリーの“真相”とは

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「ブラックボックス」の領域

 名古屋市の担当者は、保管の当事者は葬儀会社のため詳細は分からないとしながらも、

「業者からは『冷蔵保管』を行っていたと聞いている。ある程度、ご遺体が腐敗していたことは避けられないと思います」(同)

 と話した。一方、都内で葬儀会社を経営する人物は、

「業界内で『冷蔵保管』といえば、遺体用の保冷庫に納めるのが一般的です。通常、3~4度以下に設定して遺体を安置しますが、保管期間の想定は数日から1か月程度。庫内の温度を0度以下に保つことも可能ですが、ドライアイスやエンバーミング(消毒・防腐処理)を併用したとしても、3年以上も冷蔵保管していた例など聞いたことがない」

 と驚きを隠さない。実際、冷蔵保管をしても、細胞の死滅など遺体の腐敗そのものは避けられないという。

「遺体は胃や腸など内臓から腐敗していき、冷蔵保存でできるのは腐敗のスピードを遅らせることくらい。葬儀業者のなかには、遺体に身寄りがいないと“ぞんざいに扱う”ケースなどもあると聞き、無縁仏となるような遺体の取り扱いについてはブラックボックスな部分が残る。少子高齢化の加速で、誰の身にも降りかかりかねない問題となる可能性はあり、国が指針をつくることなども必要になってくるのではないか」(同)

 名古屋市は従来の手続きを改めた理由として「ご遺体の尊厳を守るため」を挙げたが、引き取り手の有無で「尊厳」の軽重が決まるなど“悲しい現実”だ。

デイリー新潮編集部

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