“投資の神様”はなぜ「S&P500」を強く勧めるのか? 専門家がデータで解説「アメリカ株が“今後も強い”と断言できる理由」

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アメリカで1番ハイパフォーマンスな銘柄はリターン率約31万%!!

 国力の高さもさることながら、個別銘柄のパフォーマンスも群を抜いている。1989年末から今年の2月末までの期間で集計した、日米のパフォーマンス上位10銘柄を見るとその差は歴然だ。

 日本銘柄の1位は、半導体銘柄として知られる「東京エレクトロン」(銘柄コード8035)の6845%で、2位は「キーエンス」(6861)の6286%となっている。

 アメリカの1位は、地方の金融機関向けのシステムを手掛ける「ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエイツ」(ティッカーシンボルJKHY)で、リターンは脅威の312008%となっている。2位は「マイクロソフト」(MSFT)で108663%。他の有名企業では、「アップル」(AAPL)の73272%、「アドビ」(ADBE)の46011%などがある。まさに“桁違い”である。

「象徴的なのが6位にランクインしている『ベスト・バイ』という会社。58666%のリターンを記録していますが、どういう事業かというと、日本で言うビックカメラのような家電量販店を展開する会社なんです。日本で家電量販店の銘柄がこんな爆発的な伸びを記録することは考えにくいですよね」(岡元氏)

アルファベット(Google)だけで日本の上位10社の研究開発費

 アメリカを代表するテクノロジー企業は、事業展開の規模もすごい。iPhoneやiPad、Apple WatchといったApple製品を使うユーザー数は全世界で約20億人。Googleが提供する検索サービスの月間訪問件数は1.687億回を数える。Amazonの月間サイト訪問者数は22.7億人だ。

「国内企業とのスケールの違いは研究開発費にも表れています。日本でトップのトヨタ自動車の年間の研究開発費は0.9兆円。SONYは0.8兆円です。一方、Amazonは12.8兆円、アルファベット(Google)は6.8兆円ものコストを投じて新製品や新しいサービスの開発を続けているのです」(岡元氏)

 日本で研究開発費の多い企業トップ10の合計が5.8兆円なので、アルファベット一社だけでその金額をカバーしていることになる。

「こうしたアメリカ企業のイノベーションに積極的に投資し、巨万の富と名声を手にしたのが“投資の神様”ことウォーレン・バフェット氏です。彼が率いる投資会社『バークシャー・ハサウェイ』は1988年を基準に現在までに約195倍という驚異的なリターンを実現させています。」(岡元氏)

 そのバフェット氏は、2019年のインタビューで、彼が亡くなった後の遺産について、自身の妻のために「財産の90%をS&P500に投資するように」と財産管理人に指示しているそうだ。

前編【「NYダウ」「S&P500」が最高値を更新! いまからでも“米国株”の恩恵にあずかるための「2つのポイント」を専門家が伝授】からのつづき

岡元兵八郎
マネックス証券の専門役員。専門である外国株のチーフ・外国株コンサルタントのほか、マネックス・ユニバーシティ投資教育機関のシニアフェローも務める。元Citigroup /米ソロモンブラザーズ証券のマネージング・ディレクター。外国株に30年以上携わるプロフェッショナルで、関わった海外の株式市場は世界54カ国を数える。海外訪問国は80カ国を超える。米国株はもちろんのこと、新興国の株式事情にも精通している。ニックネームは「ハッチ」。Xアカウント名 @heihachiro888

デイリー新潮編集部

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