「ホストの恋人から刺されそうに」「かわいそうな子でパトカーが家に何度か」 新宿タワマン刺殺事件、殺害された平澤俊乃さんの凄絶な半生
祖父は「水商売をやっていたなんて初めて聞いた」
平澤さんの祖父に尋ねたところ、
「あの子は高校時代、ネイル学校に通って事業を始めたいと言っていてね。ウチの女房が、自分が大学に行くための500万円を孫のためにと持たせてあげて、上京していった。学校を出てネイルの店を出したと聞き、私たちもお祝いの花を贈ったんだけど、水商売をやっていたなんて初めて聞きましたよ」
平澤さんはSNSで、地元から上京するに至った自分を評して、〈家という鳥籠から抜け出せた〉と記している。そして18歳から銀座のクラブでホステスとして働き、売り上げナンバーワンの座に上り詰めたことに胸を張るのだ。
そうした来歴や夜の世界に生きる心構えをつづったSNSには、高級酒の注がれたグラスの山、いわゆる「シャンパンタワー」をバックにほほ笑む彼女の写真が、幾つも掲載されている。
「オープンから3日で6000万円も売り上げたそう」
銀座の店が閉店したのを機に、上野・湯島の歓楽街へやって来た彼女は、20歳の頃にガールズバーをオープンさせる。共同経営者と折り合いがつかず、わずか数カ月で店を閉じるが、コロナ禍の最中、21年12月に再び上野にクラブ「シャルム」をオープンした。店では女の子が7~8人、黒服は3~4人くらい働いており、彼女は「平明日香」という源氏名で自らママとして店を仕切ることになったのだ。
同じビルで飲食店を開いていた店主が言う。
「明日香さんは、真っ白なウエディングドレスに似た服をよく着ていて、身長は高いヒールの分を入れて165センチくらいだけど、腰が折れてしまいそうなほど細く痩せた姿が印象的でした」
開店時には祝いの花が店先に飾られ、木札には容疑者と同じ〈和久井〉の名前がハッキリ見てとれる。
この店の開店に合わせて、和久井容疑者は1000万円以上を彼女に渡したと主張しているのだ。
前出の店主によれば、
「シャルムはオープンから3日で6000万円も売り上げたそうなんです。毎日のようにシャンパンを開ける音がポンポンと威勢よく外にまで響いていましたよ。盆暮れ正月などにシャンパンタワーをやっている様子で、店の前にシャンパンタワーの準備・設置を請け負う会社のトラックが止まっていて、どこの店に用があるのかと思ったらシャルムだった。翌朝には店先にシャンパンの空き瓶が40~50本ほど入った籠が置かれ、ずいぶん景気がいいなと思いましたね」
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