「女にだまされただけ。バカだから」 新宿タワマン“メッタ刺し”事件、和久井容疑者の父が語った息子の素顔

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「女がだまそうとして、それに引っかかっただけでしょ」

「ウチのボウズが、1000万円以上を彼女に渡したのは間違いない。親として“だまされているんじゃないか”と言ったんだけど、“そんなことするような子じゃない。いい子だ、おとなしい子だ”って、全然聞く耳を持たなかったよ」

 と明かすのは、逮捕直前まで和久井容疑者と同居していた父親だ。自宅のある神奈川県川崎市で、宅配便やバイク便のドライバーとして生計を立てていた息子の異変について、こう振り返る。

「突然、彼女と結婚するから家を出るって言ってさ。彼女へ金を渡した途端、店に行っても冷たくされてケンカになっちまった。それで倅(せがれ)が“金返せ”って言ったら、店を出禁にされてストーカー扱いされたと。世間ではさんざんストーカー野郎とか言われているけど違うよね。女がだまそうとして、それに引っかかっただけでしょ。バカだから」

 和久井容疑者のSNSを見ると、3年前に自分の大事な“宝物”を立て続けに売り払って金に換えていた。ホンダの真っ赤なスポーツカー「NSX」と、同じ色のオートバイ「NR」。状態にもよるが、各々1000万円超の値打ちがある“マニア垂涎”の逸品だ。

「車やバイクをかわいがっていてさ。買ってから20年ちかくたつ車なのに、毎日毛布やシートをかぶせて、その上に自衛隊が使うような折りたたみテントを張って雨露をしのいでいた。それらをどんな思いで売り払ったのか。車やバイクへの情熱を女に向け変えたってことなんだろうけどさ。ハタチ過ぎの時、バイク仲間ともめてウチのボウズがボコボコに殴られたことがあってね。顔も膨れ上がり入院したんだけど、相手が母子家庭でかわいそうだからと警察には訴えなかった。元々そういう子なんだから、今回は最後の最後まで追い詰められてしまったんだよ」(同)

 ホステスたちは売り上げのため、時には色目を使い男性客をとりこにする。いわば“擬似恋愛”を前提に酒を酌み交わす側面がある点は否めない。

 ましてや、和久井容疑者と平澤さんは、父と娘ほど年が離れている。よほど互いに引かれて信頼関係を築けない限り、永遠の契りを結ぶことは一般的に難しい年齢差だ。遊び慣れた紳士なら分別もつくだろうが、そうした男女の駆け引きが原因のトラブルに巻き込まれかねない、高額なお金が絡む水商売の世界に、彼女は吸い寄せられていく。

 後編では、平澤さんの凄絶な生い立ちについて報じる。

週刊新潮 2024年5月23日号掲載

特集「新宿タワマン刺殺 『シャンパンガール』泡と消えた夢の裏に凄絶半生」より

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