支持率80%、モディ政権は異例の3期目へ…インドの将来は本当にバラ色なのか

国際

  • ブックマーク

中国との国境紛争問題はどうなる

 大国意識に目覚めたインドは、国際社会における自国の「正しい位置づけ」を明確にすべく、自己正当化を前面に押し出すようになった印象が強い。

 この強気な外交を展開しているのは、スブラマニヤム・ジャイシャンカル外相だ。現在の中国のように、インドも西側諸国との軋轢を強めるようになってしまうのではないかとの不安が頭をよぎる。

 また、インド歴代首相にとって地政学的な最大の悩みは中国との国境紛争問題だ。

 建国の父であるジャワハルラール・ネルー初代首相にとって最大の恥辱は、1962年に起こった中国との国境紛争における敗北だ。インドは北部の領土の一部を失ったまま、現在に至っている。

 中国は3月末、インドが実効支配する北東部アルナチャルプラデシュ州に30の「新地名」を発表するなど挑発行為を続けている。モディ氏がこれまで以上に強硬姿勢で臨めば、中印間が一触即発となるのは確実だ。

 インドの今後の動向については、これまで以上に細心の注意が必要だろう。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。