支持率80%、モディ政権は異例の3期目へ…インドの将来は本当にバラ色なのか

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インドの将来は本当にバラ色か

 モディ氏はなぜ高い支持を得ているのだろうか。

 フランスの調査企業イプソスが3月に公表した調査結果によれば、インドの都市部に住む消費者は、対象となった29カ国中で最も自国の経済の現状と先行きを楽観している。

 インド人のこのような現状認識には人口動態が関係している。

 過去の諸外国の例を見ると、生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(高齢者と子供)の割合が最小の時に奇跡の経済成長が起きることが多い。インドは既に世界第5位の経済大国だが、このような奇跡の経済成長が起きるのは2030年以降で、しかも、これが25年間続くと予想されている(5月16日付ニューズウィーク日本版)。

「インドの将来」はバラ色というわけだが、「絵に描いた餅」に終わる懸念もある。若年層に十分な雇用機会を提供できなければ、経済成長の機会を失うばかりか、社会の大混乱を招く要因になってしまうからだ。

 祖国がこの10年間で世界の大国の仲間入りをしたことで、多くのインド人はユーフォリア(熱狂的陶酔感)に浸っている感があるが、内実が伴わなければ、夢から醒めるのも時間の問題だろう。

ヒンズー至上主義が加速する可能性

 中国経済の不振を尻目にインド・ブームが起きているが、3期目のモディ政権には茨の道が待っているのかもしれない。

 製造業振興策「メイク・イン・インディア」を掲げているが、インド企業の投資意欲は乏しく、海外からの直接投資(FDI)の流入額も減る傾向にある。構造改革が進まず、活動を阻害する悪弊が温存されているからだ。「インドの汚職は中国よりひどい」との指摘もある(4月22日付ニューズウィーク日本版)。

 70歳を超えたモディ氏の後継者選びという難問も控えている。

 モディ氏はこのところ「反イスラム姿勢」をトーンダウンしつつあるが、選挙で大勝すれば「次期政権はイスラム教徒を弾圧する権限を委任された」と開き直ることができる。

 経済が今後不調になれば、モディ政権は支持率維持のためにヒンズー至上主義にますます頼らざるを得なくなるだろう。

 昨年、インドの情報機関がカナダでシーク教指導者の殺害に関与した疑惑が浮上したが、西側諸国におけるインドの主権侵害が今後頻発する可能性は排除できないだろう。国際関係もぎくしゃくする可能性が高いと言わざるを得ない。

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