視聴率2強「日テレ」「テレ朝」の明暗、「フジ」の苦境は鮮明に…「民放在京キー局」23年度決算を読む
視聴率2強は日テレ、テレ朝
民放在京キー局の2023年度決算が出揃った。テレビをリアルタイムで観る人が減り続けているため、CM売上高は各局ともダウンした。特に視聴率不振のフジテレビの下げ幅が大きい。民放在京キー局のうち、主要4局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビ)の決算を検証し、その背景を考察する(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】
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テレビ離れが止まらない。2023年度のPUT(総個人視聴率=テレビをリアルタイムで観ている個人の割合)が、また落ちた。21年度から3年連続で下がっている。
全日帯(午前6~深夜0時)とプライム帯(午後7~同11時)のPUTは2021年度が21.8%と33.6%、22年度が19.6%と30.3%、23年度は18.8%と29.1%である。
プライム帯のPUTは3年間で4.5%も落ちた。個人視聴率の1%は関東地区で推計約40.5万人だから、この3年間でプライム帯から約189万人のリアルタイム視聴者が消えてしまったことになる。
深刻な状態に直面している各局の業績はどうなっているのか。まず、それぞれの個人視聴率とコア視聴率を確認したい。
個人視聴率とは全世代の数値であり、5%なら100人中5人がその番組を観ていたことになる。コア視聴率は対象を13~49歳に絞った個人視聴率である。丸数字は順位だ。
■日本テレビ
全日帯 個人 3.5%(1)
〃 コア 2.6%(1)
プライム帯 個人 5.2%(2)
〃 コア 4.3%(1)
■テレビ朝日
全日帯 個人 3.5%(1)
〃 コア 1.3%(4)
プライム帯 個人 5.3%(1)
〃 コア 2.4%(4)
■TBS
全日帯 個人 2.7%(3)
〃 コア 1.5%(3)
プライム帯 個人 4.1%(3)
〃 コア 3.0%(2)
■フジテレビ
全日帯 個人 2.3%(4)
〃 コア 1.7%(2)
プライム帯 個人 3.5%(4)
〃 コア 2.8%(3)
※テレビ東京は全て5位
日テレの強さが目に付く。コアは断トツである。2023年度の決算なので、3月末までの視聴率を見てみると、たとえば同24日の「世界の果てまでイッテQ!春の2時間スペシャル」(日曜午後7時58分)は個人9.0%、コア9.2%を記録した。
この「イッテQ!」の9.2%というコアは3月に放送された全番組の中でトップだった。コアのヒットの目安は4%なので、その2倍を軽く超えていた。現在放送中のプライム帯の全ドラマと比べ、約2.5~6倍だ。
コアの数値が高い番組はCM枠が高く売れる。それどころか、スポンサー間でCM枠の奪い合いになる。日テレ幹部の1人は「『イッテQ!』は日本で一番利益が上がる番組」と胸を張る。
ほかにも日テレには「しゃべくり007」(月曜午後9時)、「月曜から夜ふかし」(月曜午後10時)、「上田と女が吠える夜」(水曜午後9時)、「ぐるぐるナインティナイン」(木曜午後8時)などコアが常時4~5%に達する番組が多い。
一方、テレ朝は、個人では日テレとトップを争うものの、コアが極端なまでに弱い。朝日放送が制作する「ポツンと一軒家」(日曜午後7時58分)の3月24日放送の個人は7.2%で、この時間帯で2位だったが、コアは1.3%。同時間帯で最下位だった。
テレ朝はほかにも「相棒22」(3月終了)、「楽しく学ぶ!世界動画ニュース」(木曜午後7時)、「ザワつく!金曜日」(金曜午後6時50分)と個人視聴率は高いが、コアは2%前後と低調な番組が目立つ。若い世代をターゲットにしたはずのドラマ「マルス-ゼロの革命-」(3月終了)に至ってはコアが1%を割ることもあった。
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