「筒香嘉智」の“完全復活”はいばらの道か… メジャー時代のデータが明かす「不都合な真実」

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メジャーで変化した打撃スタイル

 その一方で、筒香の日本復帰に関してラミレス氏は、「まだ(筒香は)30本塁打以上打てるパワーや、技術を十分に備えている。復活の可能性は十分にある」(YouTubeチャンネル「ラミちゃんねる」)と自身のYouTubeで太鼓判を押すが、筒香がMLBに籍を置いた2020年から2022年まで打撃データを比較すると、その打撃やヒットの打球方向に、大きな変化が垣間見える。データ解析システム「Statcast」の情報を閲覧できる「Baseball Savant」で、筒香の打撃の軌跡を確認してみよう。

 2年目までは左の長距離打者らしく右方向への打球が多く見られるものの、3年目の2022年には左方向への流し打ちが増えている。日本で1軍復帰を果たした6日には、第3打席で左方向にフェンス直撃の2塁打を放ち、「僕の中での逆方向は1つのバロメーターでもあるので、非常にいい感覚だった」としているが、MLB時代の打球の速度と角度の関係を示す「barrel %(バレル率)」は、2020年の「9.3」から「6.9」、「5.6」……と年々低下を続けており、「速球に振り遅れていて、角度を付けにくくなっている」と見ることも出来る。ちなみに昨年の大谷翔平選手は「19.6」、鈴木誠也選手は「10.5」、吉田正尚選手は「6.6」である。

NPB復帰1年目は誰もが苦戦

 筒香の日本球界復帰にあたっては、アメリカで残した成績や、過去にMLBから日本球界に復帰した選手の成績などから「苦戦するのではないか?」と見られる向きもあった。ここでメジャーからNPBに復帰した野手の成績を並べてみよう。

【近年日本球界復帰を果たした選手の初年度成績】

2011年:岩村明憲選手(当時楽天) 77試合/打率.183/0本塁打/9打点/175打数32安打
2013年:西岡剛選手(当時阪神)122試合 打率.290/4本塁打/44打点/497打数144安打
2015年:中島宏之選手(当時オリックス、現在中日) 117試合/打率.240/10本塁打/46打点/417打数100安打
2022年:秋山翔吾選手(広島) 44試合/打率.265/5本塁打/26打点/155打数41安打

「僕は(その声を)聞いてない。目の前の試合を必死にやるだけです」と復帰戦で語った筒香だが、本塁打を放った11日の阪神戦からは6試合ノーヒットが続き、一時は打率が1割台に低迷。不安が的中したかのように思われたが、19日の中日戦(バンテリンドーム)では2019年以来慣れ親しんだ4番に座り、3打数2安打の活躍で復調をアピールした。

「ここのところ本当に貢献できていなかったので、日々微調整をしながら、1日でも早く良い状態に戻して、チームに貢献していきたい」

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