巨人・高橋礼を今さら2軍に落としてどうするのか【柴田勲のコラム】

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負け方の見本市

 巨人がマツダスタジアムでの広島3連戦で3タテを食らった。今季2度目の同一カード3連敗で3位に転落した。

 10日からのヤクルト3連戦と北陸でのDeNA2連戦を4勝1敗と乗り切っての広島戦だったが、これは痛い。同一カード3連敗は絶対にしちゃいけない。

 首位の阪神から5位のヤクルト・中日まで5ゲーム差、セ・リーグは混戦だ。避けたいところだった。17日の初戦は今季6度目の完封負け、第2戦は毎回14安打を放ちながら15残塁の拙攻で逆転負け、第3戦は1回に3点を先制したが投手陣が打ち込まれて大差負けだ。負け方の見本市みたいだった。

 宅配のスポーツ新聞を手に取ったら右に阿部、左には4人降格の大見出しが。4人降格の記事が1面に掲載されるとは……初めて見たんじゃないか。巨人の現状だ。

 高橋礼、秋広優人、佐々木俊輔、山瀬慎之助が2軍降格、郡拓也、喜多隆介、馬場皐輔の三人が昇格するという。

2軍落ちに疑問

 高橋礼の2軍落ちには首をかしげる。19日の第3戦目、1回に3点をもらいながら、その裏に先頭・秋山翔吾にストレートの四球を与えた。

 阿部慎之助監督は「あの四球がすべてだった」と話していた。確かにその通りで、広島打線に逆転されるきっかけとなった。でも2軍に落としてどうするのか。ソフトバンクから移籍してきたが、昨年までの3年間で1勝しかしていない。それでもオープン戦で先発に起用したら結果を出して開幕からローテの一角を担った。ここ数試合は勝っていないが、巨人がこの位置にいるのは高橋礼の奮闘が大きい。

 最初は無心で投げていた。ストライクを先行させて低めの球で打ち取る。丁寧な投球を心がけていたが、どうしても邪心が出てくる。打たれたくない、くさい所を突きたい。投手の本能である。特に19日の先発は連敗の後だった。

 いまさら球速を上げる、変化球の切れをよくする。そんなタイプではない。大勢や西舘勇陽なら制球力に磨きをかける、これが課題になろうが、高橋礼に必要なのは気の持ちよう、精神的なものではないか。

 なぜ最初は良かったのかを思い出し、またムダな四球は出さない。これを徹底する。リリーフで残すのも手ではなかったか。 

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