5年ぶり4番復帰…他球団スコアラーが見た「筒香嘉智」評は? 三浦監督の起用法に異論も

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600本塁打超のクリーンナップ

 5月19日、筒香嘉智(32)が横浜DeNAベイスターズの4番に帰って来た。前日の同カード中日戦で、開幕戦から「主砲」を務めてきた牧秀悟(26)が一塁ベースを駆け抜けた後、右膝裏の張りを訴えて途中交代した。

「牧が4番から外れるのは2年ぶり。22年シーズン、新型コロナウイルスの陽性判定で外れたことがありましたが、それ以降は主砲としてチームを牽引してきました」(スポーツ紙記者)

 詳しい症状は発表されていないが、主砲が怪我でスタメンを外れたショックはチームやファンにとっても大きい。その不安を払拭するためにも、19年9月19日以来の「ハマの4番」に返り咲いた筒香の「責任」は重大だ。

「DeNAは17日から『2番オースティン(32)、3番筒香、4番牧、5番宮崎敏郎(35)、6番佐野恵太(29)』の超・強力打線を組んできました。通算ホームラン数は、5人合わせて611本(同時点)です」(前出・記者)

 17日からの中日3連戦は、その超・強力打線が爆発したというよりも、先発投手の粘投と救援陣への系統で逃げ切った印象だ。しかし、味方投手陣は「多少の失点があっても、打線が何とかしてくれる」と“確信”していた。その投手陣の安心感が何よりも重要なのだ。

「17年シーズン、クライマックスシリーズ・ファーストステージ(以下=CS)でシーズン3位だったDeNAは同2位の阪神を破り、日本シリーズまで勝ち上がった。セカンドステージ、筒香が雨の甲子園球場で、ドロ塗れのユニフォームで選手を鼓舞し続けた姿は今も語り草になっています」(チーム関係者)

 そのときのリーダーぶり、カリスマ性が今回、DeNAからの強い帰還要請に繋がった。とはいえ、今や17年の快進撃を知るメンバーも少なくなった。筒香は自らのバットで結果を積み上げなければならない。

 そんな責任重大な立場に置かれた筒香だが、気になる情報がある。

渡米前と変わっていない?

「筒香が一軍に合流したのは5月6日。レフトの守備に就きましたが、初回、ヤクルトの2番・丸山和郁(24)の凡フライを捕球した際、横浜スタジアムのDeNAファンが拍手をしたんです。全然難しくない、二、三歩動けば捕れる打球でした。DeNAファンの間では、もともと『守備難』の選手だとインプットされていたからでしょう」(前出・スポーツ紙記者)

 その試合で逆転3ランを放ち、存在感も見せつけたものの、19日までのトータル成績は打率1割6分1厘、打点5、本塁打2。得点圏打率2割5分の数字が表しているように、勝利に貢献し、チームを牽引してきたとは言えない。

「4月18日の入団会見後、しばらくはファームで調整していました。その際、DHで出場する試合もあれば、自己申告で室内練習場にこもって打ち込みをしていました。DHで出場したところで『一軍に昇格してもやっていけるのか』と周囲を不安にさせました。セ・リーグはDHのない9人制です。守備に就いて打席に立つという、リズムみたいなものがあるんですが、約5年間の米球界生活で、そのリズムを忘れてしまったのではないかと」(前出・記者)

 それでも一軍復帰の初戦で結果を出したのはさすがだ。その復帰戦のネット裏には複数球団のスコアラーも陣取っていた。目的は米球界で苦しんだ筒香の現状を見極めるためだが、某球団のスコアラーが興味深い発言をしていた。

「次、打つぞ」

 第2打席、筒香のバットは快音を残したものの、打球はヤクルトの中堅・西川遥輝(32)の守備範囲だった。スコアラーは打球が西川のグラブに収まった後、そう言った。打球の鋭さを見て言ったのではない。打撃フォーム、スイング軌道を見て出た一言だった。

「メジャーでは、外国人投手特有のムービングボールを見極めるため、ギリギリまで引きつけて打ちます。そのため、メジャーからNPBに帰還した選手は、ボールを捉えるポイントが体に近すぎて振り遅れる傾向にありました。体の前で捉えていた渡米前のポイントに戻す必要があるんですが、選手によっては、長く時間が掛かることもあります。筒香は約5年間も日本にいなかったのだから、別のバッターになっていた可能性もありました。しかし、彼は前と変わっていません。言い換えれば、変わっていなかったから、メジャーでは通用しなかったとも言えます」(某球団のスコアラー)

 そのスコアラーの予見通り、筒香は次打席で左中間を割る二塁打を放ち、最終4打席目で逆転アーチを放っている。「5年前と変わっていない」の言葉が事実とすれば、日本の投手に比較的早く対応できるのではないか。

「その可能性もありますが、弱点も渡米前と変わっていないともいえます。筒香が苦手なのは速い球とインコース。今の状態を『腰のキレが悪く、手元でバットを振っている』と指摘する評論家もいますし、早めに弱点を見つけられ、集中的に攻められるでしょう」(同)

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