吉村知事「ゼロ歳から選挙権」はただの暴論か? “子育て世代”が政治を動かすきっかけになるとの見方も
若者に良い思いを
財源が足りないがため、医療費の2割負担の検討を訴える良心的な政治家もいるにはいるが、高齢者票を失いたくない政治家が猛烈に反対し、なかなか実現できない。結局選挙は各候補者同士、どれだけ高齢者に気に入られるかだけを考えておけば当選できるのである。そんな時に票を持たない未成年はどうでもいい。何かと忙しく、投票に行かない若者・中年も優先対象ではない。
そんな政治的志向と国民の投票行動を変える期待を持てるのが、吉村氏が述べる「0歳からの選挙権」なのである。私も初めて聞いた時「ついに吉村さんも狂ったか……」と思ったが、上記のようなことを考えると日本がまともになるための方策はコレしかないのでは、と感じたのである。内閣府が16日に発表した2024年1~3月のGDP速報値は年率2.0%減。惨憺たる状況である。「失われた30年」は若者が苦渋を嘗め続けたが、その結果が今だ。
結局社会というものは、残りの寿命が長い者の永続的な幸せを優先すべきだと思う。年齢がある程度いった人間は十分に幸せを享受したのではなかろうか。私は現在50歳だが、自分が今後良い思いをするよりも、赤ちゃん、子供、若者に良い思いをしてもらいたいと考える。先人が作ってくれた交通インフラや水道光熱のインフラと清潔な街づくりのお陰で、1973年生まれの私は十分に恩恵を受けてきた。それがあったお陰で快適な人生を送り続け、社会人になってからは多額の納税をすることができた。その点、現在の高齢者には感謝している。
我が家で4票あるなら
彼らは衛生的ではなく不便な社会を快適にすべく、粉骨砕身頑張ったわけだ。その時の崇高なる理念は賞賛されてしかるべきだが、リタイア後の日々の生活においては後進に「席を譲る」という感覚でも良いのでは。
さて、具体的な投票のやり方についてだが、0歳児が投票所で実際に投票するのは無理があるため、現実路線としては、18歳(ないしは16歳に改定)以下は親が子供の持つ一票を行使できる、とする。本人の意思が反映されていないではないか! と思われるだろうが、さすがに政治家を選ぶことは乳幼児には不可能である。だから、親が代わりに我が子の票を使って自分の意思を表明するのだ。親は20~40代が多いだろうから若年層の声が相対的に増える結果となる。
そして子供の分まで票が持てると考えると、その子の将来のため投票へ行くモチベーションも上がるだろうし、それまで投票に行っていなかった夫婦も「我が家で4票あるなら行くか」となるかもしれない。子育て世代の声こそ将来の日本にとっては重要なわけで、吉村氏のこの提言はスルーしない方がいい。
この方法がいいのは、選挙期間中の絶叫アナウンス公害やら、昔ながらの買収作戦が通用しなくなることである。さらには議員が催し物を行脚したり盆踊りに参加して有権者に顔を売るという行為の意味が相対的に薄くなり、国会議員の場合は、中央でまともな政治活動をするようになるかもしれない。
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