「海外のカジノ業者の利益になるだけ」 世界的建築家・山本理顕が明かした「大阪万博批判発言」の真意 「安藤忠雄さんは逃げてはいけない」
信じられない弁明
おまけに、「木造リング」の設計料は2億円弱で総工費は350億円。これほどの金額がかかる公共工事の設計者を、この程度のずさんな審査で選んだのなら、コンペの参加者だけではなく、本来なら万博協会こそが怒らなくてはならないはずです。
自らの責任をできるだけ回避したいのでしょう。藤本さんは自身のXで大要、
〈この巨大リングを、藤本壮介建築設計事務所が設計業務として請け負うことは、自分で巨大建築を構想して自分の事務所でそれを受けるということになり、自らに利益を流していると受け取られる可能性がある。それは本意ではないので、設計者を別で選定した〉
などと説明していますが、私からすれば信じられません。
藤本さんの役割は、万博協会の期待に応えて、優れた会場計画とシンボルとなる建築を造ることです。「木造リング」のアイデアが藤本さん自身だと言うからには、なおさら設計から監理まですべてに関わり、完璧を目指さなくてはなりません。
万博協会は、藤本さんという建築家を全面的に信頼しているからこそプロデューサーに選んだのです。“金銭の横流しを疑われるから設計は他者に委ねた”などという言い訳は通じません。そんなことを心配しなくてはならないことが、逆に今回の万博プロジェクトに内在する問題をよく表しています。
施工会社に丸投げ
さらに憂慮すべきなのは、設計共同企業体による「木造リング」の基本設計が完了後、実施設計及び施工、施工監理を一括にして施工会社に丸投げしてしまったことです。現場は3工区(大林組、清水建設、竹中工務店を中心とする共同企業体)に分けて分割発注されましたが、実態としては、設計と施工が同一会社なのは大問題なのです。
端的に言えば、このような複雑に利害がからむ国家的プロジェクトでは好ましくない発注方式だと言えます。設計と施工が一体になれば、設計者側からの工事会社に対する監理が難しくなるからです。設計者による工事金額の精査も難しくなります。
「木造リング」の積算額は誰の責任において計算されたのでしょうか。ゼネコンによる積算額を万博協会はそのままうのみにしたのでしょうか。
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