「海外のカジノ業者の利益になるだけ」 世界的建築家・山本理顕が明かした「大阪万博批判発言」の真意 「安藤忠雄さんは逃げてはいけない」

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「コンペの審査が驚くほどずさん」

 もし、建築家が博覧会のシンボルになる建築の設計を依頼されたら、それこそ大きな栄誉です。全責任を担って取り組むはずです。

 過去を振り返っても、ロンドン万博でクリスタルパレスを造ったパクストン、パリ万博でエッフェル塔を設計したエッフェル、モントリオール万博のバックミンスター・フラー、1970年大阪万博の丹下健三――。万博のシンボルを設計した者は、その栄誉とともに記憶されています。

 歴史に名を刻んだ建築家たちは、さまざまな困難を乗り越えて万博のシンボルを造り上げた。コスト、工期、ディテールも含めて、その建築の全てに対して責任を負ったのです。

 翻って、今回の万博で藤本さんは会場のプロデューサーであると同時に、シンボルとなる建築の設計者の役割も担っている。そう自分では言っているようですが、それならなぜ最も重要な「木造リング」の設計を他者に任せたのか。全く納得がいきません。

 そのうえ、肝心の設計コンペにおける審査が、驚くほどずさんなものであることが分かってきました。万博協会が公にした審査講評は、極めて簡易なものでしかありません。

 これまで数多くのコンペを経験してきた私から見ても、公平な審査とはとてもいえない。根拠不明の点数のみで、その内容は分からない。藤本さんによる選定理由の文章だけで建築家たちは納得するだろうか。これが総工費350億円の公共建築の設計者選定の審査結果なのです。

コンペ参加者から怒りのメールが

 このような結果に対して、コンペ参加者から3月、以下のような怒りのメールが私宛に届きました。

〈審査委員には、木造の専門家も、構造の専門家も、リユースや資源循環の専門家もいません。さらに、具体的にどのような提案がヒアリングに残ったのか、どのような議論が行われ最終案が選定されたかは、上記の簡単な記述だけで(中略)メディアに対して全くオープンにされていません。全く公開性のない審査で決められています。プロポーザル参加者としては(中略)納得のいかない審査結果を押し付けられた感が強いです〉

 このコンペにおいては木造の可能性、そして万博が終わった後のリユースが焦点のひとつだったにもかかわらず、それらに詳しい専門家がいなかったというのです。最も注目される博覧会のシンボルを建築するコンペとして、あまりにもずさんとしか言いようがない。このコンペ要項をつくったのは藤本さんです。プロデューサーとしての責任感が欠如していると思います。

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