「海外のカジノ業者の利益になるだけ」 世界的建築家・山本理顕が明かした「大阪万博批判発言」の真意 「安藤忠雄さんは逃げてはいけない」
一番の問題点は
今回の万博における問題点は「責任者が誰なのか分からない」ということに尽きます。
実施主体は国や地方自治体、経済界が手を組んで立ち上げた「2025年日本国際博覧会協会」(万博協会)となっています。ところが、万博の話題については、岸田総理をはじめ担当大臣や国会議員、そして開催地の大阪府と大阪市の首長など、さまざまな人が話をしておられますが、各々どのような立場と責任から発言しているのか。誰が総責任者なのか分かりにくい。
国や大阪府・市などの行政のみならず、経団連など民間からもお金を投入し「国家事業」として進めているのですから、責任の所在は隅々まで明確でなければなりません。
私が建築家の立場から憂慮する「木造リング」についても、実際は誰が考案して設計したのか。会場の設営を進める万博協会が、いつ誰に依頼して承認したのか。常識的に納得できるような公的説明が皆無です。
「他人が設計した方が良い建築ができる」と判断したのか
旧ツイッターのXなどでは、万博の会場デザインプロデューサーである建築家の藤本壮介さんが、“自分が考案した”と言っているようですが、実際のところ“考案”とは具体的に何を指すのか。ただ紙に円を描いただけなのか。詳細について全く明らかにされないままです。
また彼は“自分が設計者”とも言っていますが、正式に万博協会と設計契約を結んだのでしょうか。
実のところ「木造リング」の設計自体は他者に委託されています。2021年7月、「リング基本設計技術提案」がコンペ(プロポーザル)の形で公募され、万博協会は「東畑・梓設計共同企業体」を設計者として選定しているのです。
藤本さんは自分が設計するのではなく、設計者選定のコンペで審査員を務め、結果的に「東畑・梓設計共同企業体」が選ばれた。他人が設計した方が良い建築ができる。そう判断したとしか思えません。
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