岩田剛典、井浦新、板谷由夏、本田翼などなど…ドラマで掛け持ち出演する俳優が急増しているのはなぜか

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飽きてきた視聴者

「これを受けてテレ朝が『おっさんずラブ』をヒットさせたので、民放各局は深夜帯でもドラマを放送するようになりました。私は韓国ドラマも同じ役者さんばかり出ているなと思っていましたが、今や日本のテレビドラマも似た状況になってきています。テレビドラマの粗製濫造で出演者の全員拘束など不可能になってしまいました。プロデューサーもアシスタントプロデューサーも掛け持ち役者のスケジュール調整に忙殺され、綱渡りで撮影しています。2人の役者さんが演じるシーンでも、2人が現場に揃わないので、1人だけ撮影することが増えており、場面のつながりをチェックする記録さんも大変です」(同・プロデューサー)

 テレビドラマが粗製濫造になると、出演者の掛け持ち出演だけでなく、“連投”も目立つようになった。これでは視聴率が低下するのは当然だろう。

「『アンチヒーロー』で主演の長谷川博己さんは、NHKの大河ドラマ『麒麟がくる』(2020年〜21年)以来、4年ぶりの出演です。『Destiny』の石原さとみさんは産休もあって3年ぶりで、『Believe』の木村拓哉さんも1年の間を取っています。それもあって、この3本は視聴率が好調です。ところが、主演が連投状態のドラマは視聴率が芳しくありません。視聴者が飽きてしまっているのです」(同・プロデューサー)

今こそ無手勝流

 川口春奈主演で、木南晴夏と畑芽育が脇を固める「9ボーダー」(TBS)では、木南が「セクシー田中さん」(日テレ)、畑芽育が「パティスリーMON」(テレ東)と連投状態だ。

「主演の川口春奈さんは昨年7月期の『ハヤブサ消防団』(テレ朝)と、約半年の間が空きましたが、やはり充分ではないでしょう。『9ボーダー』の視聴率は低迷しています。こんな粗製濫造では儲かりませんから、経済の論理でテレビドラマの淘汰が始まるのは必然だと思います」(同・プロデューサー)

 今のテレビドラマが抱えている問題点は、「とにかく視聴率を狙いすぎ」だという。

「視聴率のことばかり考えているので、似たストーリーと似た出演者になってしまうわけです。これでは賢明な視聴者に見透かされます。以前、日テレが得意にしていた『今日から俺は!!』、『3年A組─今から皆さんは、人質です』、『あなたの番です』といった視聴者の意表を突く無手勝流のテレビドラマが求められていると思います」(同・プロデューサー氏)

辛気くさいドラマ

 過去のデータも視聴者の動向も完全無視。ヒットさせようなどという“邪心”は捨て、無心に製作すべし――。

「視聴者の皆さんは、とにかく面白いテレビドラマに飢えています。さらに言えば、深刻で辛気くさいドラマにも辟易しているはずです。具体的な作品名は言いませんが、今、放送されているドラマにもそういうストーリーの作品があります。かつてテレビドラマでは『ナースのお仕事』(フジ)や、『鬼嫁日記』(フジ/カンテレ制作)のような、アホらしくても楽しくて仕方のないドラマも人気でした。こうした味わいのドラマは、今こそ製作のチャンスではないでしょうか」(同・プロデューサー)

註:NHK、民放合わせて週に39枠ある連続ドラマ、ここ20年で倍増したのは何故か?(JPpress:2023年10月12日・小林偉氏の署名原稿)

デイリー新潮編集部

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