日本ハム時代の「落合博満」も被害に…球場で“蜂”に刺されたプロ野球選手たち

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プレー中に不意打ちのひと刺し

 4月30日のダイヤモンドバックス対ドジャースの試合前に、蜂が大量発生。蜂駆除員がヒーローとして始球式に登場する珍事が話題になった。さらにNPBでも5月3日の楽天対ロッテの試合中にスズメバチが飛来し、試合が一時中断するハプニングがあった。そして、過去には蜂に刺された選手も何人か存在する。【久保田龍雄/ライター】

 守備中にミツバチに刺されるアクシデントに見舞われたのが、中日時代の久慈照嘉である。

 1998年3月21日にナゴヤドーム(現・バンテリンドーム)で行われたオープン戦、ロッテ戦、事件が起きたのは1対0とリードした中日の4回の守備中だった。

 2死から打者・平井光親のカウント0-1の直後、ショートを守っていた久慈は、首筋にチクリと虫に刺されたような感触を覚えた。反射的に手で払いのけると、ブーンという羽音とともに、1匹のミツバチが目の前に姿を現した。プレーに集中しているときに、飛来してきたミツバチに不意打ちのひと刺しを食らったようだ。

 この回を何とか守りきった久慈だったが、患部が赤く腫れていたことから、大事をとって交代。アレルギー反応を調べ、注射と点滴の治療を受けることになった。とんだ災難に見舞われた久慈は「蜂で死ぬこともあるからね。でも、よりによって、一番小さい(身長169センチ)オレを刺さなくてもいいのに」とターゲットにされたことに納得がいかない様子。

ドーム球場でも油断は禁物

 さらに不思議なのは、ドーム球場の中に蜂がいたことだった。

 実は、3月5日から10日まで同球場で「フラワードーム98」と銘打った花の展示会が開催されており、同12日の日本ハム戦の際にもベンチで蜂を目撃したという関係者の証言もあった。久慈を襲ったミツバチも花に紛れて球場内に侵入したのではないかと推測された。

 同年は7月25日に西武ドーム(現・ベルーナドーム)で行われた西武対日本ハムの試合前にも、シートノックで外野を守っていた日本ハム・橋上秀樹が蜂に右側頭部を刺され、医務室で頭にネットをかぶせられる応急処置を受けた。同球場は吹き抜け部分があるため、屋外の昆虫や鳥もフリーパスなのだが、久慈の例からもわかるように密閉型のドーム球場といえども、油断は禁物のようだ。

 自然が豊かな地方球場ともなれば、蜂との遭遇率も当然アップする。地方遠征の試合中、蜂にプスリと刺されたのが、日本ハム時代の落合博満である。

 1997年8月10日に福島県のいわきグリーンスタジアムで行われた西武戦、4番ファーストで出場した落合は、7回に一邪飛を落球、2点を追う9回も空振り三振と攻守にわたって精彩を欠いた。守っている最中に左肩を蜂に刺されたアクシデントが影響したようで、三冠王3度の大打者にとっても、蜂は“恐ろしい敵”であることを痛感させられた。

 落合は前日、福島県営あづま球場で行われた西武戦でも、打席に入った際にユニホームの背中にセミが止まる珍事の主人公となり、連日虫とご縁の深いみちのくシリーズとなった。

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