「チーズは最強のアンチエイジング食品」 実はダイエット食材で認知症予防効果も
サルコペニアを防いでくれる
さらに、このカゼインの中には、体内で作ることができず、食事から摂取するしかない9種類の必須アミノ酸のうちのひとつである「ロイシン」が多く含まれています。必須アミノ酸の中でも筋肉量を増やすために欠かせないのが分岐鎖を持つバリン、ロイシン、イソロイシンという3種類のアミノ酸で、その中でもロイシンは最も筋肉生成に寄与することが分かっています。筋肉はいくつになっても増やせます。チーズはサルコペニア(加齢に伴う筋肉量の減少)を防いでくれる優れた食品なのです。
近年、サルコペニア予防のために、高齢者であってもタンパク質を積極的に取ることが推奨されています。しかし、過剰なタンパク質の摂取には腎臓に負担をかけてしまうリスクもあります。したがって、大量のタンパク質を「取る」のではなく、良質なタンパク質を「選ぶ」ことが求められます。その意味では、筋肉生成に最も効果的なロイシンを多く含むチーズは、素晴らしい「抗サルコペニア食品」に位置付けられるでしょう。
牛乳を10倍濃縮
サルコペニアの先に高齢者を待ち受けているのは、寝たきりなどの要介護につながるフレイル(虚弱)です。フレイルに陥らないためには、日常的に適度に体を動かすことが不可欠です。しかし、ちょっとしたつまずきや転倒によって骨折し、体を動かせなくなってしまうリスクを高齢者は抱えています。そのため、フレイル予防策としては、筋肉増強に加えて骨を丈夫に保つことが求められます。実はこの点においても、チーズは極めて大きな力を発揮します。
大雑把に言うと、チーズとは牛乳を10倍濃縮した食品です。骨の元となるのは何といってもリンとカルシウムですが、チーズに含まれるリン酸カルシウムの濃度も、牛乳の約10倍ということになります。例えば、牛乳を200ミリリットル飲むとそれだけでお腹が膨れますが、チーズはその10分の1の重量で同じだけのリン酸カルシウムを摂取できるわけです。さらに、チーズはカルシウムの吸収を阻害する食物繊維を含んでいないことも特徴に挙げられるでしょう。
いくら健康のことを考えて牛乳を飲もうとしても、お腹を下したりしてしまう乳糖不耐(症)の方がいます。しかし、チーズは製造の過程で、乳糖は液体のホエイ(副産物として生成される乳清)に移行するため、ほとんど残っておらず、たくさん食べてもお腹を下すことはまずありません。この点も、牛乳は苦手で飲めないけれど……という高齢者にもチーズがお勧めの理由です。
このようにあらゆる観点から、骨粗鬆症予防のためのカルシウム摂取源として、チーズは理想的な食品といえるでしょう。
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