「チーズは最強のアンチエイジング食品」 実はダイエット食材で認知症予防効果も

ドクター新潮 ライフ

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カマンベールチーズが認知症予防に寄与する可能性

 しかし、キリン株式会社などの研究グループが行ったマウス実験によって、カビ系のカマンベールやブルーチーズに含まれるオレイン酸アミドとデヒドロエルゴステロールという二つの成分が、脳内の免疫細胞(ミクログリア)を活性化してアルツハイマー病の原因とされる老廃物のアミロイドβの沈着を有意に減少させることが分かったのです。

 また、株式会社明治が、70歳以上の軽度認知障害(MCI)の女性を対象に、白カビ系のカマンベールチーズを1日2ピースずつ3カ月間摂取してもらったところ、学習や記憶に大きく関係するBDNF(脳由来神経栄養因子)の血中濃度が、カビ発酵していないチーズの摂取群と比較すると有意に高くなりました。カマンベールチーズが認知機能の低下抑制や認知症予防に寄与する可能性が示されたのです。

 さらに、キリンホールディングス株式会社の臨床試験によって、カマンベールチーズに含まれるβ-ラクトリンというペプチド成分に、記憶力や注意力といった脳機能を維持する働きがあることが明らかになっています。

「カゼイン」こそが、チーズのチーズたるゆえん

 以上のように、認知症予防効果が期待できる白カビ系チーズ以外にも、優れた機能性からとりわけ高齢者の方により多く食べてもらいたいチーズがたくさんあります。以下を読み進めていただければ、その理由がお分かりになると思います。

 水分を除くと、チーズの成分はタンパク質と脂質がほぼ半々になります。そして、チーズの主要なタンパク質は「カゼイン」と呼ばれるもので、ヨーグルトでは固まっている部分に相当します。このカゼインこそが、チーズのチーズたるゆえんのひとつです。

 一般にタンパク質は熱に弱く、卵も肉も加熱すると硬く熱変性してしまいます。ところがカゼインは、タンパク質の中でも例外的に、110度で10分加熱しても壊れない耐熱性があります。また、チーズを作るときにキモシン(レンネット)という酵素で乳を固めますが、その際にカゼインの分子が集まってカードという網目構造を作ることで、チーズにはピザを食べる時に実感できる「糸引き性」が生まれます。この糸引き性こそが独特の食感とおいしさをもたらし、チーズ特有の味わいを生み出してくれるのです。

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