「チーズは最強のアンチエイジング食品」 実はダイエット食材で認知症予防効果も
願わくは認知症や寝たきりにならず生涯を全うしたい――。人生100年時代、老化をいかに防ぐかが鍵であり、そのためには健康食材が欠かせない。専門家いわく、「おつまみ」の印象が強いチーズこそ実は最強のアンチエイジング食品。チーズの秘めたる力に迫る。【齋藤忠夫/東北大学名誉教授】
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日本の食卓に足りないものは何か――。
2013年にユネスコの無形文化遺産に登録され、私たちが世界に誇る「和食」は、塩分摂取量が多めになってしまう弱点を除けば、おいしさと栄養バランスにおいてほぼ完成されている食事といえるでしょう。
しかし、日本が超高齢社会の道を進んでいるいま、私たちは適切に栄養を摂取するにとどまらず、それにプラスして病気予防等に寄与する機能性を持った食品を取ることが求められています。
そして日本人には、さまざまな機能性を持った、ある食材の摂取が不足しています。例えば、その食品は認知症予防につながる成分を含んでいるにもかかわらず、「世界の酪農情況2022」によれば、国民1人当たりの摂取量は第1位のフランスの10分の1に過ぎません。世界の中でも高齢化の先頭を走る日本だからこそ、認知症予防等に役立つこの食品をもっと取るべきではないかと私は考えています。
正解は、日本人には「チーズ」が足りていないのです。
〈こう説くのは、東北大学名誉教授の齋藤忠夫氏だ。
畜産物利用学・応用微生物学を専門とし、特に乳製品に詳しい齋藤名誉教授は、日本では健康食品として定着しているヨーグルト(発酵乳)だけでなく、チーズがもたらす優れた健康効果にも、もっとスポットライトが当たるべきだと言う。
『チーズの科学』の著作がある齋藤名誉教授が、驚くべき健康作用を持ったチーズの奥深い世界を解説する。〉
近年注目される「認知症予防効果」
乳製品が体に良いのは誰もが知っていると思います。そして、私たちの健康維持・促進に役立っているのは、乳製品に含まれる乳酸菌なのだと思っている方は多いでしょう。
しかし、そこにはちょっとした“誤解”が含まれています。もちろん、乳酸菌自体がさまざまな健康効果をもたらしてくれることは間違いありませんが、実は発酵の過程で乳酸菌が生み出す代謝産物や、乳酸菌自体が分解された成分もとても重要なのです。乳酸菌やカビで一定期間発酵(熟成)させたチーズには、さまざまな機能性を示すペプチド(アミノ酸化合物)が多種類含まれていて、その点ではヨーグルトよりも魅力的だとすらいえます。
そのチーズの健康効果として、近年注目されているのが「認知症予防効果」です。かねて、「チーズなどの発酵乳製品を習慣的に摂取している人は老後の認知機能が高く保持されている」という疫学的調査結果が数多く存在するものの、どのような成分が有効なのかは不明でした。
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