一昔前なら批判の的…M-1王者「令和ロマン」の「テレビに出ない」宣言が叩かれない理由
売り出し中の芸人と「怒涛の出演ラッシュ」
新しく出てきた芸人が1つのネタやキャラクターで注目されたり、お笑いコンテストで優勝したりすると、多くのテレビ番組がその人たちを積極的に起用しようとする。その芸人を出演させるだけで話題作りができると考えるからだ。
ほとんどの芸人は、ここで積極的にオファーを引き受けて、一時的にブレークを果たすことになる。毎日のようにテレビに出ることで顔を売り、視聴者に認知される。
ただ、このときの波が大きければ大きいほど、勢いが衰えたときのショックも大きくなる。少しテレビに出るペースが落ちただけで「あいつはもう消えた」と言われたり、一発屋の烙印を押されたりする。
もちろん、すべてのブレーク芸人がそうなってしまうわけではない。怒涛の出演ラッシュをこなしながら、そこできっちり結果を残してそのままテレビに定着する人もいる。
一昔前なら業界内外から批判も
ただ、ほとんどの場合、芸人が自分を後押しする波の勢いをコントロールすることは難しいため、そこで不本意な形で溺れてしまったりする。
また、今の時代、たくさんのテレビ番組に出たところで、テレビを見ていない人には何も届かない。若者を中心にテレビを見ない人が増えている現代では、テレビへの出演ペースをある程度抑えて、YouTubeなどの活動に力を入れることにもそれなりの合理性がある。
一昔前であれば、売り出し中の若手芸人が「僕はテレビには出ないです」などと言っていたら、業界内外から批判を浴びて袋叩きに遭っていただろう。
でも、今ではそれを堂々と宣言するくるまが叩かれることはない。叩く方が「感覚が古い」「老害」などと言われかねないほどだ。テレビは芸人を出してあげるメディアではなく、芸人に出てもらうメディアになりつつあるのだ。
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