英国で大ヒットの舞台「千と千尋の神隠し」 “無名の女優”が千尋役で舞台に立てた理由とは?
“5人で千尋を作っていきます”
粋な計らいか、単なる台所事情か。ともあれ、森の抜てきの背景には、異国ならではの事情も絡んでいた。
「日本で知らない人はいない橋本や上白石も、英国ではほぼ無名。それだけに、ロンドンでは千尋役が誰であろうとも、観客動員には影響はない、との判断が働いたようです」
“ミュージカルの本場”で千載一遇のチャンスを手にした森。どんな女優なのか。
「これまで大劇場におけるミュージカル『デスノート THE MUSICAL』『ローマの休日』などにキャスティングされたが、いずれも役名のないアンサンブルでの出演。テレビは、令和元年に放送されたNHK大河ドラマ『いだてん』をはじめ、携帯電話のCMなどに顔を出しています」
公演に先立ち、4月中旬からロンドン入りしていた森は、自身のSNSに劇場の写真とともに“この場所に立たせていただくことの嬉しさと責任感を感じております”と投稿していた。
そんな森を、何かと気にかけているのが1歳年下の上白石だという。
「今年2月の製作発表会見には、森以外の千尋を演じる4人が出席しました。そこで上白石は“ここにいる4人に加えて、アンダースタディの森莉那ちゃんと5人で千尋を作っていきます”と、わざわざ会見場にいない森の名前を口にした。芸能界では珍しい、優しさを感じる配慮でしたね」
無名女優の英国デビューは、新たなシンデレラストーリーの始まりとなるか。