「どの曲も可愛い存在なんです」 怒らないし自慢もしない、“歌手”松本伊代のひたむきさ

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路線変更したように見られがち?

 さらに名曲は続く。Spotify再生回数第12位には、1983年の7thシングル「太陽がいっぱい」がランクイン。後にものまねタレントとしても人気となった篠塚満由美が作詞を、当時、松本のレコード会社の担当ディレクターだった川原伸司が、社内アルバイト禁止のため羽佐間健二という名義で作曲を手がけた、ラテン系のポップスだ。川原は、平井夏美名義での松田聖子「瑠璃色の地球」や井上陽水「少年時代」の作曲者としても名高い。この「太陽がいっぱい」は、歌ってみるととても難しいナンバーだが、近年のコンサートで松本は見事に歌いこなしている。

「この曲も最近のコンサートで外せないですよね。一時期、リズムが細かすぎて、息が出来ないからって、セットリストから外していたんですが、やっぱりカッコいい曲なので、頑張って歌うことにしました」

 そして、第15位にはまたもやアルバム曲で、『Endless Summer』から「ネバーランド発7:00P.M.」がランクイン。本作も♪ONLY LONELY SEVENTEEN 今夜こそ~ というノリノリのサビや、ショータイムの幕開けにふさわしいフェイドイン型のイントロが、いかにもコンサートで盛り上がりそうなナンバーだ。

「コンサートのオープニングで歌ったから人気なのかもしれませんが、名曲と言っていただくシングルの『抱きしめたい』よりも上位だなんて!皆さん、シングルかアルバムかは関係なく聞いてくださるんですね~」

 改めて、当の松本は世間一般のイメージよりも歌に誠実で、表現力が高いということが実際に聴いてみるとよく分かる。

「やっぱり『TVの国からキラキラ』や“ピーピピピ”の『オトナじゃないの』あたりのイメージで、路線変更したように見られがちなんですかね。でも、いただいた曲にはどれも何の不満もありません。シングルのA面とB面についても、テレビで歌いやすいかどうかで意見したことは何度かありますが、それが通ったことがないくらいです(笑)」

 第16位には1985年のシングル「月下美人」が、当時の地味なイメージとは裏腹に大健闘している。

「本当だ~。これは細野晴臣さんやYMOの世界的人気からでしょうかね? 『月下美人』は、初めての松本隆先生の歌詞だったので、大好きでした。先生は、レコーディングにいらして、歌い方も指導していただきました」

 アイドルとして長らく人気を誇った当時、オリコンTOP20入りしたシングルが10作以上もある松本だが、今回のランキングの上位15曲の、なんと過半数がアルバム収録曲となっている。

「当時から、私のアルバムって、クオリティーが高いって、皆さんに言われていたと思うので(笑)、こうやって結果が出ているは嬉しいです!ここで人気の『風のように』『Private File』『マリアージュ』といった後半のアルバムも全部大好きなんですが、1枚目の『センチメンタルI・Y・O』と2枚目の『サムシングI・Y・O』も好き。あと(1986年の)『天使のバカ』も大好きで、このアルバムタイトル曲(49位)は、Night Tempoさんが最近ミックスしたものをイベントでもかけてくださっているので、今後、もっと伸びるといいな。あと、『魔女っ子セブンティーン』(第47位)も、私自身はシングルにしたかったくらいカッコいい曲なので、皆さん聞いてください!(笑)」

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