春ドラマ“意外な本命” 「ジワジワ面白い」「痛快」な設定 クドカン作品のような悪ノリに称賛の声続出

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森本慎太郎のオドオド演技

 ところが、このドラマ。さびれた商店街に昭和の雰囲気が漂い、懐かしさが胸にこみあげてくることもあってネットでは意外と好評なのだ。

「予定調和と真逆の即興劇に立ち会っている感じ」「下北沢の芝居小屋に座っているような気になる」「筋も読めないしそんなに視聴者に親切じゃないけどそこがいい。かなり面白い」「なんかハマってしまった。じわじわ面白いんだよね」「殴ろうにも殴れない荒木と殴られたい向井の『間』が面白かった!」「このドラマだけリアルタイムで見ている」など賞賛する声が目立つ。

 脚本を担当したのは綾野剛主演の映画「そこのみにて光輝く」(2014年)でキネマ旬報ベスト・テン脚本賞を受賞した高田亮氏と、山下智久主演のNHK4月期ドラマ「正直不動産2」(2024年)を共同担当した清水匡氏。いずれも人間ドラマを深く掘り下げる手腕で知られている。

 スポーツ紙芸能デスクが指摘する。「森本のオドオドとした演技は正義の優柔不断な人柄をよく表現していますし、妻役の森川葵のホステス姿も見違えるような色っぽさ。浜野の目の据わった演技も卓越です。何より些細なきっかけで偽装強盗を繰り返すようになってしまった主人公と友人たちの姿は、飲酒のせいで雪だるま式に状況が悪化していく仲間たちの大騒動を描いたアメリカの大ヒットコメディー映画『ハングオーバー!』シリーズを思い出させます」

 正義と荒木、その常連客の計4人で始めた偽装強盗が商店街のあちこちで始まり状況はどんどん悪化していく。しかし、それは自分たちの生活を守るための自衛手段というのも、現代社会に向けられた皮肉になっているようだ。

「ロケが少ないためセットがフル活用されていますが、それがかえって効果的で斬新ですね。ブラックな吉本新喜劇を見ているような錯覚を抱きますし、ブラックジョーク満載のストーリーは宮藤官九郎作品のような悪ノリを感じます。実際、酒店店主役で出演している俳優の皆川猿時は、松尾スズキが主宰する『大人計画』に所属していて、クドカン作品の常連としても有名です。今作では、売り物の酒を飲んでしまう典型的なダメ親父をオーバーな演劇調で演じているところも、芝居を見ているようで痛快です」(前出の芸能デスク)

 今後、正義が暮らす商店街は“正義”を取り戻せるのか。コアなファンは偽装強盗の行く末を、固唾を飲んで見守っている。

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