46イニングで防御率は驚異の0・96…サイヤング賞候補「今永昇太」ファンが熱狂する背景に「巨人の名投手と同じ直球」「魅せる投球」

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ピンチを招いて人気上昇

 江川氏の全盛期を知る野球ファンなら、彼が高目のボールで三振を取っていたことをご記憶だろう。今永も同じというわけだ。

「高目のボールが活きているのは、低目のスプリッターが効いているからです。今永投手は高目と低目のボールを絶妙に出し入れすることで、相手バッターを幻惑させているとも言えます。今永投手の好投は、キャッチャーのヤン・ゴームズ選手のリードも寄与しているのではないでしょうか。メジャー12年目のベテランですが、今永投手の持ち味をうまく引きだしていると思います」(同・友成氏)

 アメリカのメディアも今永に熱狂しているのは前に触れたが、その理由の1つに「残塁率の高さ」があるという。

「データを見ると、今永投手はランナーを出してしまうことも多いと分かります。ところがピンチを迎えると、相手バッターをバッタバッタと三振に切って取るので、アメリカのファンもメディアも興奮するというわけです。本当のところは今永投手が自分で招いたピンチなのですが(笑)いわゆるファンには“魅せる”ピッチングと映ります。高目のホームランボールで三振を取るという投球内容も“スリリング”な興奮を与えますから、今永投手はファンの人気も急上昇しています」(同・友成氏)

最も心配なのはケガ

 友成氏によると、アメリカでは投手の成績のうちK/BBという指標を最も重視するという。これは奪三振と与四死球の比率を意味し、投手の制球力を示す。3・5を超えると優秀とされる。

 現在のK/BBのランキングを見てみると、今永は何と6・38でMLB4位。ちなみに山本が5・30で5位につけ、先に紹介したグラスノーは4・87で7位と、いずれも実力を反映した数字になっている。

「アメリカのスポーツメディアは今永投手とグラスノー投手の投球内容を大きく取り上げています。今季のMLBは始まったばかりですが、この2人に対しては早くも『今年のサイヤング賞の有力候補』という記事も配信されています」(同・友成氏)

 現時点で今永のピッチングに不安要素はないが、カブスというチームには問題点があるという。今永を除く投手陣が“壊滅”状態なのだ。

「カブスのエースはジャスティン・スティール投手で、まだ4年目の若手ながら昨季は16勝5敗と活躍しました。ところが今季は開幕戦でケガをして故障者リスト入りしてしまったのです。5月に復帰しましたが、12日のパイレーツ戦はホームラン3本を浴びて自責点6と散々な内容でした。スティール投手がケガで欠場していた時はカイル・ヘンドリックス投手が昇格されました。彼はMLB通算10年という中堅投手ですが、今のところ6試合を投げて0勝3敗。防御率は10・04というひどい数字です。5勝した今永投手はチームトップですから、早くも重い負担がのしかかる気配がします。今季の今永投手が最も心配すべきはピッチングではなく、ケガだということになるでしょう」(同・友成氏)

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