田中将大(35)10年前に「ヤンキースが許していれば…」と米代理人の嘆き 「家族旅行」と「食事会」が意味する200勝との距離感と達成後の“引退説”

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「トミー・ジョンなら違ったキャリアになっていた」

 楽天で昨オフに発覚した安楽智大投手(メキシカンリーグ)の若手選手へのパワハラを巡るトラブルでは、田中将が安楽の問題行動を助長したと報じられ、ファンの批判と失望を買った。

「ルーキーとの食事会の報告は意図的だったのかどうか分かりませんが、こうして若手との親睦を示せば、損なわれたイメージの回復にはつながります。それよりも、まずはファンに今の調整ぶりを伝える方が先との意見があったように、それをしていないところにも臨戦態勢ではない現状がうかがえます」(前出のコーチ)

 田中将は昨年10月、右肘の骨片を除去する「クリーニング手術」を受けた。ヤンキース時代の15、19年のオフにも経験した手術だ。コロナ禍の20年は開幕が7月にずれ込んだものの、16年は開幕投手を務めるまでに復調した。

「今回の手術でも当初は開幕に間に合う見込みでした。若い頃のような回復力はないのでしょう。クリーニングとはいえ、この年齢なっての手術は投手生命を左右しかねません」

 長年、MLBで活動する米大手マネジメント会社の代理人はこう危惧した上で「14年に右肘にトミー・ジョン(肘靱帯再建手術)を受けていれば、また違ったキャリアになっていたのでしょうが……」と嘆く。

コントロールの良さゆえに

 田中は14年、日本球界ナンバーワン投手として楽天から鳴り物入りで名門ヤンキースに移籍した。開幕から6連勝するなど期待に応えていた中、7月に右肘靱帯の部分断裂が判明。トミー・ジョン手術が必要との診断を受けた。

 しかし、根治を目指す同手術ではなく、自身から採取した血小板で組織の回復を図るPRP注射による治療が選択された。

「PRPは対症療法で、メジャー球団との交渉時には、症例が多く、移植した靱帯で球速がアップすることもあるトミー・ジョンに比べ、大きくマイナスに評価されます。当時は先発の柱が必要だったヤンキースがトミー・ジョンを許さなかったとか、さまざまな事情があったのですが、まだ26歳で若かった時にトミー・ジョンを受けていれば、少なくとも今のような球威の衰えは避けられたと思っています」(同代理人)

 その後、田中将は力から技の投球にシフトする。プレーオフではリミッターを解除したかのような活躍を見せ、辛辣なニューヨークのメディアが認める勝負強さを発揮したが、基本的にはかわす投球に終始した。幸か不幸か、田中将は抜群のコントロールを備えていたため、力でねじ伏せなくても先発投手の責任を果たし続けることができた。ヤンキースでの通算78勝46敗は1億5500万ドル(約158億円/当時のレート)の契約にふさわしいものだった。

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