新宿「タワマン刺殺」容疑者はなぜ「キャバクラ」に“結婚”を持ち込んだのか? 疑似恋愛を「娯楽」と割り切れない男のさみしい心理

国内 社会

  • ブックマーク

「その先」に勝手に

 店側も「本気にさせてカモにしろ」などと指導はしているかもしれないが、まともなキャバクラリテラシー、いや「世間リテラシー」があれば、客もこの3点を理解したうえでキャバクラに行くだろうし、キャバクラという場所を以下のように割り切るべきなのだ。

 キャバクラは本気の恋愛と婚活の場ではない。ちょっぴりエロい気持ちと疑似恋愛を楽しむ割り切った場所。その特別な時間のためにキャバ嬢の給料は高く、客も通常の飲み屋よりも多くカネを払う。

 だから私のような男はキャバクラの上客になり得ない。それは過去の恋愛経験と、交際せずとも女性関係が豊富であることが影響している。私はなぜかよく分からないが、女性とサシ飲みをすることが非常に多い人生を送り続けた。そして、その日の内に、“その先”も多数経験した。彼女達は売春婦ではないため、カネを要求されるわけではない。「もう今日、一緒に泊まっちゃおうよ~」などと言われてそうなるだけだ。

 私は「本当にあったエロい話」という連載を女性向け恋愛サイト「AM」でこの5年ほど展開している。これは自身の実体験がベースになったエロ話を2週間に1回公開しているのだが、通常の居酒屋、飲食店代以上を払って女性の歓心を買うことはしたことがない。なぜか「その先」に勝手に進んでくれるのである。当然、キャバクラ嬢が登場したことはない。

一般女性とサシ飲みの方が

 男に対して好意を抱く女性というものは、別に金銭だけが狙いではないのだ。「あっ、この人、面白い」「この人と一晩過ごしたいな」といったフィーリングで「その先」に行くのである。キャバクラという業態はカネを払って「その先」を妄想できるサービスを提供できるものだ。

 そういったワケで、キャバ嬢が客にホレることは滅多にない。現にキャバ嬢や風俗嬢は彼氏がいることが多いし、ホレたホストに貢ぐことがある。だから客のことは自分の給料を持ってきてくれる存在としか見ていない。

 だから私はキャバクラにハマる男性の気持ちがまったく理解できないのだ。「一般女性とサシ飲みする方がよっぽど楽しいじゃん」としか思えないからだ。ある程度仕事で実績があり、見た目もそこまで悪くない場合、普段仕事で一緒になる女性や、趣味の仲間女性をサシ飲みに誘えば乗っかってきてくれるもの。

 それは「誘っても嫌がられないだろうな」という確信があるからだ。だが、キャバクラにハマる男は、「こんだけカネを使っているから、プライベートの関係に持ち込んでも嫌がられるわけがない。いや、彼女はオレにホレている!」と誤解してしまう。それはカネを通じた関係だからだ。

次ページ:「匂わせ」はやめた方が

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。