女子小学生向け「キラキラ系実用書」が男性にもヒット “11万部突破”の理由を担当者に聞いた
11万部突破
2019年の発売からしばらく経ち、あるSNSの投稿がブームのきっかけとなった。小学生の娘が、持ち物の確認をお願いするメモを残しており、その内容に娘の気遣いを感じたという母親の投稿だった。そして、娘がこんな風に丁寧にお願いできるようになったのは、『かわいいのルール』を読んだ影響があったのかも……というものだった。
それから約5年経ち、今年に入ってからも再びSNSでバズった。
営業担当の高木智華子さんによると、「今年の3月頃に、Xで40代の女性が『社会人のマナーを学べた』とこの本を紹介してくださいました。さらに、同じく40代の男性が『本の構成がすごい』と考察のような内容を投稿してくださり、一時は書店などで手に入りづらいほどの売れゆきになりました。子どもだけじゃなく大人が読んでも役に立つ、という視点で話題になったのは予想外でした」という。
初版は1万部で、現在は11万部を突破した。Amazonでは男性と見られる読者から《女児向けを超えて全ての人の人生の教科書だと思います》《大人でもマナーの復習が出来る》《婚活本より、ためになる!》といったレビューが投稿されている。
「ビジネス書みたいなレビューが付いたり、コンサルタントの人が『新人研修の教材に使える』と言ってくれたり……。本当かな? とも思いますが、ありがたいです。電子書籍の売上も伸びていて、Amazonキンドルランキングでは、児童書ジャンルでなく、総合で1位になったこともあります。特に男性の方には、可愛い表紙の書籍を買うのに抵抗がある人もいると思うので、電子で読んで頂くことが多いのだと思います」(高木さん)
大人に相談しづらい悩み
編集の工夫について、先の老沼さんに聞いた。
「Xで考察されていた方も書かれていましたが、本の前半、パッと目に入るカラーページは、コーディネートやヘアアレンジの紹介など、子どもが興味を持ちやすい内容にしています。後半は、前向きな考え方をする工夫や気持ちの伝え方など、本書のテーマでもある『内面をみがく』ことについて取り上げています。また、あまり目立たない1色刷りのコラムページにこそ、子どもたちにじっくり読んでほしい内容が書かれています」
コラムページには、生理やブラについてなど、小学生が周りの大人に相談しづらそうなことが丁寧に解説してある。
「20代から50代までの編集者が集まってアイデアを出したところ、『大人になった今では当たり前に知っていることでも、小学生のうちに知っておいたら良かったことってたくさんあるよね』と気づいたんです。例えば、生理用のナプキンにズレにくい羽根付きタイプがあることや、ナプキンの包み紙で巻いて捨てる方法など、日々の生活で役に立ちそうな細かい情報を詰め込むことを意識しました」
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