リブゴルフ選手にとって、全米プロと来月の全米オープンは正念場である理由

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来年以降は可能性も…

 こうして見ると、今年のメジャー大会で特別招待を受けたリブゴルフ選手は、マスターズでは1名、全米プロでは6名(早い段階で招待が決まっていたニーマンを含めると7名)だったが、全米オープンでは現状はゼロ。全米オープンを主催するUSGAは、リブゴルフ選手に対して最も厳しい目を向けているかのように思えるかもしれない。

 だが実際は、USGAが最もリブゴルフ選手への理解を示し、彼らに全米オープン出場への道を開こうと考えていることがわかった。

 米ゴルフウィークによると、PGAツアーのジェイ・モナハン会長とPIFのヤセル・ルマイヤン会長が昨年6月に統合合意を電撃的に発表した直後から、USGAのマイク・ワン会長はリブゴルフ選手を正当に評価するための世界ランキング以外の新基準を設ける必要性を唱え始めていたという。

 しかし、それほど大事な事柄を慌てて決めることはできないと考えたワン会長は、今年の全米オープンまでは現行の出場資格に則って選手を決めることにした。

 そして今年のメジャー大会、とりわけ全米オープンにおけるリブゴルフ選手の実力や活躍、成績などを総合的に評価分析した上で、今後は新たな評価基準の設定とそれを含めた出場資格の見直しを行なうつもりであることを明かした。

 それが具体的にどんなものになるのかは「今はまだわからない」とワン会長は語ったそうだが、USGAがリブゴルフ選手のために新たな動きを見せるとしたら、それは世界のゴルフ界を同じ方向へ動かすことにつながっていくと言っても過言ではない。

 すべては今年のリブゴルフ選手の動き次第、姿勢次第、そして成績次第となる。

 だからこそメジャー大会への出場を望むリブゴルフ選手にとって、今週の全米プロと来月の全米オープンは正念場となる。ゴルフファンや周囲は、そう思いながらメジャー大会を眺めると少々異なるアングルから試合観戦ができそうだ。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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