リブゴルフ選手にとって、全米プロと来月の全米オープンは正念場である理由

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誰が選ばれるかは主催者次第

 今季2つ目のメジャー大会、全米プロゴルフ選手権が今週16日からケンタッキー州の名門バルハラCCで開催され、16名のリブゴルフ選手が出場する。10名は資格を満たした上での出場だが、6名は特別招待での出場だ。

 先日もお伝えした通り、6名のうち5名は世界ランキングのトップ100を維持していたり、DPワールドツアーやアジアツアーで好成績を残しているなど「特別招待される理由」が見受けられるが、テーラー・ゴーチだけはそうした理由がまったく見当たらない。「なぜゴーチが特別招待?」と周囲は一様に首を傾げている。それでもゴーチが優勝争いを演じるなどの活躍を見せれば、開幕前の批判や疑問の声を吹き飛ばし、リブゴルフ選手の実力を世界に示すことはできるのだろう。

 メジャー大会の特別招待は、大会主催者の一存に委ねられている。リブゴルフ選手の誰が特別招待されるのか、なぜその選手なのか、何人が招かれるのかといったことはすべて大会主催者次第だ。言い方を変えれば、今後、リブゴルフ選手がメジャー大会から特別招待をどれだけもらえるかは、彼らのアピール次第と言っても過言ではない。

 メジャー大会の主催者にリブゴルフの素晴らしさを伝え、彼らの心を掴み、「リブゴルフ選手を特別招待したい」と思ってもらうことができるかどうかがカギになる。そういう意味で今週の全米プロでは、リブゴルフ選手がどれほど魅力的なゴルフを披露し、上位に食い込むかに世界の視線が向けられている。

特別招待するのは「稀」なケース

 それでは次なるメジャー大会、6月の全米オープンにリブゴルフ選手が特別招待されるかと言えば、答えは「ノー」である。

 全米オープンを主催するUSGA(全米ゴルフ協会)には「出場資格を満たしてはいないものの特別に招待したい」と判断した選手を大会に招いてきた歴史的経緯がある。

 全米オープンに初めて特別招待されたのは、1966年のベン・ホーガン。以後10年ほどは特別招待がまったく出されなかったが、1977年のサム・スニード以降は頻繁にオファーされるようになり、1978年から1983年はアーノルド・パーマー、1984年には青木功、1990年代になるとほぼ毎年、ジャック・ニクラスが招待された。

 2000年にはニクラスを含めた6名が特別招待され、その大半がすでに戦力外とみなされていた高齢選手。そのため「さすがに6名は多すぎる」「出るべき選手の貴重な出場枠を奪っている」という批判の嵐が巻き起こった。

 そうした批判を真摯に受け止めたUSGAは、2001年以降は特別招待の人数を1名から2名に絞り、特別招待者ゼロという年も増えていった。近年で最後に特別招待されたのは2021年大会のフィル・ミケルソンで、一昨年と昨年は皆無だった。

 そして今年、USGAは「何千人もの選手が地区予選や最終予選に挑んで出場資格の獲得を目指している。その貴重な1枠にUSGAが特別招待を出すことは、きわめて稀である」という声明を出したのだが、よくよく眺めてみるとその声明にはこんな下りもあった。

「稀に特別招待をオファーする場合は、その選手のこれまでの卓越した成績、とりわけUSGA主催大会における成績、世界ランキング1位を維持した期間、ツアーでの通算勝利数、昨今のパフォーマンスやランキングなどを総合的に考慮して判断する」

 今年、この「稀」なケースに当てはまったのは、タイガー・ウッズただ一人。USGAは1996年以来、初めて自力でメジャー出場資格を満たすことができなかったウッズを特別招待し、ウッズ自身も「とてもありがたい」と感謝し受け入れた。

 だが、リブゴルフ選手はこの「稀」なケースには該当しないということで、特別招待された選手は1人もいない。出場資格を有していない35名のリブゴルフ選手が最終予選に挑み、狭き門を勝ち抜いて自力で出場権を得ようとしている。

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