20世紀以降、急増してきた世界の人口が6年後に転換点…少子高齢化で国際社会の地政学リスクが上昇

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日本は90年代から入った「人口オーナス期」

 少子高齢化は経済成長にとってマイナスだと言わざるを得ない。

 経済学では、生産年齢人口の比率が低下して経済成長を妨げることを「人口オーナス」と呼んでいる。生産を担う人口の減少と高齢者の年金負担のダブルパンチが、経済の障害要因となるからだ。

 少子高齢化により総需要が減少すると、経済がデフレ化しやすい傾向がある。また「少子高齢化が金融政策の効果を減じてしまう」との指摘もある。

 1990年代に人口オーナス期に入った日本で「少子高齢化社会に適した画期的な製品・サービスを生み出すことで成長を維持すべきだ」との主張が繰り返しなされたが、「言うは易し、行うは難し」。

 日本では幸い深刻な事態となっていないが、経済の低迷が社会の混乱を引き起こすのは世の常だ。少子高齢化が国際社会の地政学リスクを高めないよう祈るばかりだ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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