「今の選手を萎縮させるだけ…」立浪和義監督の“懲罰交代”に波紋 背水の「契約最終年」に蘇る2年前の“悪夢”

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“京田事件”を想起

「問題は試合中に罰を与えるかどうかということでしょう。昔は珍しくなかった懲罰交代も、選手を尊重するようになった今はほとんど見られなくなりました。以前でさえチームに緊張感を与えるプラス面と、萎縮させるマイナス面がありました。今の選手は後者の悪影響の方しかないのではないでしょうか」

 さるチーム関係者はこう指摘した上で、今回の三好の交代で立浪監督の就任1年目の2022年、京田陽太内野手(現DeNA)を巡る一件を思い出したという。DeNA戦で拙守を犯した京田に対し、立浪監督は「闘う顔をしていない」と、試合中に横浜から名古屋に送り返した、あの一件である。

「当時も他の選手に萎縮を招いていました。監督はこういうことをするのかと……。ここから選手は敵のチームではなく、ベンチと勝負する状態になっていきました」

 チーム成績への悪影響はてきめんで、それまで貯金1と奮闘していたが、一気に下降線を辿った。奇しくも、京田の“強制送還”は5月4日、今年の三好の懲罰交代と同時期だった。

 立浪監督は今季、3年契約の最終年を迎えた。昨オフには中田翔内野手、中島宏之内野手ら実績ある選手を他球団から補強した。首脳陣の人事でも2軍監督だった盟友、片岡篤史氏をヘッドコーチに据えるなど背水の陣を敷いている。

観客動員への貢献度でクビは切れない?

 とはいえ、親会社が設定する続投のノルマがリーグ優勝というわけでもない。

「立浪監督は、采配ではファンから賛否両論ありますが、観客動員への貢献に関しては、掛け替えのない存在と親会社は評価しています。今季もお客さんの出足は好調です。スポンサーにも立浪監督の名前がものを言うことが少なくありません。12年を最後に遠ざかっているクライマックスシリーズ(CS)に進めば、続投は間違いないところでしょう」(前出の球団関係者)

 ここまで中日の本拠地バンテリンドーム名古屋での観客動員は、開幕ダッシュの好影響もあり、5月12日現在で1試合平均3万2476人と、昨季の3万333人を大きく上回っている。2トップの阪神、巨人は4万人前後だが、東京、大阪と比較した名古屋の都市規模を踏まえると、大健闘と言える。

 これまで次期監督候補は、日本代表の井端弘和監督や中日の和田一浩打撃コーチらの名が挙がってきた。いずれも現役時代の実績では監督の資質を備えているものの、中京圏においての立浪監督のネームバリューは他の追随を許さない。

「今年は4位や5位だとしても昨季までの最下位から順位を上げたことになるので、続投は十分にあり得ると思います。もともとは5年契約ではないかとの見方があります。ドラゴンズでは待望の生え抜きの元スター選手の監督ですから簡単にクビを切ることはないのではないでしょうか」(同)

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