30年ぶりの映画化…「鬼平犯科帳 血闘」で長年のファンが注目する悪役俳優の名

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 デイリー新潮で【ペリーが出会った時代劇の100人】を連載中のペリー荻野氏だが、今回は時代劇俳優についてではなく、いわば外伝。30年ぶりに映画化された「鬼平犯科帳」への熱い思いを執筆いただいた。

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 5月10日、松本幸四郎・主演の劇場版「鬼平犯科帳 血闘」が公開された。

 江戸の凶悪犯罪を取り締まる火付盗賊改方長官・長谷川平蔵の活躍を描く「鬼平犯科帳」の映画公開は、1995年公開の中村吉右衛門・主演作「劇場版 鬼平犯科帳」以来、約30年ぶりとなる。

「血闘」は幸四郎が主演する新シリーズ「鬼平犯科帳」SEASON1の第1弾として今年1月にテレビ放送され大きな反響を呼んだ「本所・桜屋敷」に続く第2弾。「鬼平」にはなくてはならない密偵・おまさが自ら望んで鬼平の密偵となり、凶賊と関わったことで絶体絶命の危機に陥る。若い頃、おまさの父が営む居酒屋に入り浸り、さんざん世話になってきた鬼平が、自分のために命をかける女を救えるのか。ギリギリの探索が続く。

 公開記念舞台挨拶には幸四郎はじめ、“本所の銕(てつ)”と呼ばれた不良青年時代の鬼平(銕三郎)を演じた市川染五郎、おまさ役の中村ゆり、少女時代のおまさ役の中島瑠菜、盗賊・網切の甚五郎役の北村有起哉、ひとりばたらきの老盗賊・鷺原の九平役の柄本明、演出を担当した山下智彦監督が登場。

 吉右衛門版に出演経験もあり「鬼平」に強い思いを持つ幸四郎は、「情熱と愛情をもって作り上げた作品」「10代から世界一の職人が手がける京都の撮影所で育ててもらった」、見せ場のひとつである殺陣については「一手一手、会話をしているような意味を込めた殺陣で、一歩も引かない。前に進む思いで、鬼になって闘った」と語った。

 染五郎は、棒を使っての殺陣で迫力を出すためには棒が軽すぎても重すぎてもよくないため、工夫しつつやりきったことを語った。血気に走る銕三郎が「意地でも刀を抜かない」と大暴れするシーンは、見どころの一つとなった。ちなみに、撮影時は18歳。10年ほど前に子役として初めて京都の現場に入ったが、今回「おかえりなさい」という空気で迎えられたのがうれしかったという。時代劇の未来を担う次世代スターである。

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