敷島製パンのクマネズミ混入に専門家も仰天 東京でネズミ増加中の背景に「インバウンド」「物流」問題

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増え続ける相談件数

 ちなみに餌を探す時は、クマネズミも地上に降りてゴミ箱などを探す。また同じ属に属しているが、クマネズミもドブネズミも自分たちだけで繁殖を行う。いわゆる“雑種”が生まれることは自然界ではありえない。

 昭和の時代を知っている人なら、古い木造家屋の屋根裏をネズミが走り回る音を聞きながら生活した記憶をお持ちかもしれない。あれはクマネズミだったことになる。

 一方、近年は全国の都市部でタワーマンションが増加したこともあり、「ネズミなんて一回も見たことがない」という人も増えてきた。ならばネズミの相談件数は減少しているのかと思えば、実情は逆だという。

「東京都におけるネズミの相談件数は増加を続けています。2018年では2031件だった相談件数が、20年では2880件、23年には3629件に増加しました。防除業務内での個人的な印象としては、都心で多かったクマネズミの防除依頼が、近年では郊外でも多くなっていると思います。ドブネズミについては昔から都心でも郊外でも防除依頼はありましたが、近年は都心でのドブネズミが増えている印象があります。ネズミの発見・相談件数が増えているのは、クマネズミとドブネズミの生息エリアが拡大していることも一因でしょう」(同・佐々木委員長)

ゴミポイ捨ての悪影響

 なぜクマネズミやドブネズミの生息エリアが拡大するようになったのか、それは都心の繁華街で生まれた個体が増えているからだという。

「大きな影響を与えているのが、繁華街でのゴミのポイ捨てです。これまで観光地や繁華街では路上飲食によるゴミ問題が報道されてきました。日本は街の中心地でも街路樹が整備されていることが多く、繁華街でも緑や土があります。ここにドブネズミが巣を作るわけですが、街路樹周りにアルコールなどの飲み残しや、コンビニなどで買った食品を捨てられてしまうとこれはドブネズミだけでなく、クマネズミにとっても格好の“エサ場”になります。その結果、個体数が増加したのでしょう」(同・佐々木委員長)

 そして繁華街でゴミのポイ捨てが増えているのは、やはりインバウンドの増加が大きな影響を与えているようだ。担当記者が言う。

「日本では1995年に発生した地下鉄サリン事件や、カラスの増加、さらに近年のコロナ禍も加わって、街中のゴミ箱が大幅に撤去されてきました。それでも日本人はゴミを持って帰る傾向がありましたが、戸惑ったのは外国人観光客です。観光庁が2019年度に行ったアンケート調査で『訪日外国人が困ったこと』として挙げた第1位はゴミ箱の少なさでした。外国人観光客の中には繁華街での食べ歩きや路上飲酒を体験したいという人も多く、人気のエリアでも公共のゴミ箱が足りません。こうして外国人観光客によるゴミのポイ捨てが増加しているのです」

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